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20世紀少年【マンガの方(笑)】(ネタバレですのでご注意!)

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ある方から、大切になさっているマンガ
【20世紀少年】を、映画が公開して
いるのもあって、読みたくて無理言って
貸して頂いた・・からには、きちんと
読まなきゃな・・という事で、自分なり
の一考察を・・。

まとめて読破しての率直な感想は、
自分のように一気に読破した人間でも、
現在と過去の行ったり来たりが激しい
ので、そこを整合させるだけでも、
とてつもない労力が必要で、まず連載で
読んでいた人は、絶対に理解できなかった
だろうなぁ・・(^-^;

とこの先、初っぱなからネタバレです
のでご注意!(爆)●〜*

【20世紀少年】が22巻、最後の
【21世紀少年】が上下巻と全24巻
からなる読み応えのある作品・・。
個人的には、1度目と目的を持って
読んだ2度目ではあきらかに感じる事
が違うので、最低でも2回は読んで
欲しいかな・・(笑)

と、いきなりだが、最終回になって
明かされた【”ともだち”】の正体・・。
普通に読み取るならば、

【カツマタくん】

であった。(実は作品内では、その
ナショナル仮面のお面の人物は、それを
肯定も否定もしていないので、個人的
結末論である事は断っておきます)
で、読み終えた後の普通の人の感覚
ですと、

【カツマタくんって・・誰?んん??】

と恐らく思ったのではないでしょうか?(笑)
という事で、

【ともだち=カツマタくん】

という位置付けで、再度、読み直して
みた・・(笑)

最初に【カツマタくん】のエピソードが
出てくるのが、1巻107ページからの
ドンキーのお通夜・・。

【フナの解剖の前日に死んだ理科の実験大好きのカツマタくん】

として都市伝説のような形で出て
くる・・しかし、最終的には【ともだち】
として【カツマタくん】が出てくる訳
ですから、明らかに【カツマタくん】が
死んでいるという事は都市伝説で
ある事はわかっている。

で、モンちゃんが

【あともう1人・・誰だっけ?】

そして、それを裏付ける108ページの
夜の学校に忍び込む影が、実は

【5人】

でも、表として出てくるのがドンキー、
モンちゃん、ケロヨン、コンチの4人
だけ・・あと1人というのはこの時点
では隠されている。

で、14巻114ページでコンチが

「今、誰か後ろにいたみたいだな・・」

と語っている事から、あと1人と
いうのは、それほどまでに存在感が
無く、みんなからは忘れ去られて
いる人物である事がわかる。

そのまま読み進め、14巻155ページ
からの【第9話・正体】でフクベエが
首つり、それをヤマネ&サダキヨが
見ている・・となると、みんなからは
忘れ去られている人物という事を
考えると、残りは【カツマタくん】!

といった感じで【カツマタくん】を意識
すると、不思議と【カツマタくん】を
感じ取る事ができる・・。

で、【カツマタくん】中心で読んでいると

【初代ともだち=フクベエ】

のつじつまに個人的に納得いかない・・。
1997年、同窓会でケンヂ達と再会。
2000年にケンヂの仲間に加わり
【血の大みそか】の際にロボットの
コントローラーを持っていた男と
掴み合いになり転落した・・。

154ページでTAKATORIYAの
【13F】でエレベーターが止まるので
【13F】から転落した事がわかる。
そして、7巻の190ページで、
それらしき2人が血みどろできちんと
死んでいるようにみえるコマがあり、
マルオとケンヂはそれが【フクベエ】か?
は確認していないし、【フクベエ】が
死んだのか?も確認はしていない。

で、結局、12巻ラストでヤマネに銃で
撃たれて死んだ【ともだち】のお面を
はがすと【フクベエ】・・って、そりゃ、
確かに7巻で上記の事を確認して
いないのでどうにでも解釈でき、結局
【フクベエ】は、転落死したと見せ
かけて姿を消したという事になるが、
【13F】からの転落、血みどろのコマ・・
この2つからみても

【フクベエは転落死した】

と考えるのが普通で、

【実は13Fからの転落時に死んでいなかった】

というこの点は、相当無理があり全く
納得いかない・・と思ったら、ふと、
【フクベエ】は嘘つきであって、マジック
を使う人物であった事を思い出したので、
その観点で読み直したらなるほど、自分
が【”ともだち”】である事を隠してケンジ
一派に潜り込み、自分の女房の話、家庭
の話でウソを並べ、7巻P153ページの
TAKATORIYAの13Fへエレベーター
でケンヂがたどり着くと、【フクベエ】が、
うまい具合に【ともだち】を見つけ、
すでに銃を構えて【ともだち】仮定
されていたお面の人物に

「あいつがロボットを操縦している」

とケンヂに断言、誘導する。そして

「友達の友達の噂ほど怪しいものはない」
「俺もサダキヨもあの秘密基地の創設メンバーじゃなかった。」
「でも、おまえ達を見ていて本当に仲間に入りたくて仕方なかった」

と語りながら、2人は落下する・・が、
ここが大がかりなマジックだったならば、
マルオとケンヂが死体の確認をして
いないので、その後、【フクベエ】が
現れるのには合点がいく・・

やられた・・_| ̄|○(笑)

で、恐らく一緒に転落したのが
【カツマタくん】だろう・・。

で、話を戻して【カツマタくん】・・。
【”ともだち”=カツマタくん】と位置
付けて読み直してみると、1回目に
読んだモノと同じモノを読んでいる
のに別な世界が待っていた。

結構、その後も、みんなが顔を思い
出せない表現として【のっぺらぼう】
の存在としてや、サダキヨとの交流
を中心に【カツマタくん】を随所に
発見できる・・でも、それは愚かな事で
【やってはいけない事】であり、重要
なのは【カツマタくん】を

【誰だっけ?】

と【思い出せない】事が、実は大切な
事である事に途中から気付いた・・。
逆を言えば、先に書いた

【カツマタくんって・・誰?んん??】

と感じない人がいたとしたならば、
その人はこの作品をわかっていない
事になるのかもね・・。

なぜなら、この【思い出せない】という
事が【ともだち】の本質だと思うから・・。
読んでいて誰もがわかるように、
【ともだち】の行動は【よげんのしょ】
を元に、終始、少年時代を再現する事
に一貫している。

さらに、最初に【よげんのしょ】を
描いたのがケンヂ・・そのケンヂを
真似て【しんよげんのしょ】を書いた
のが【フクベエ】、そこに【反陽子爆弾】
を付け足したのが、【カツマタくん】・・
で、【ともだち】は、ケンヂが描いた
【よげんのしょ】をリアルに再現、
さらに2人が改編した&付け足した
事をさらに再現する事によって、
ケンヂに自分の存在を思い出して
欲しかった・・。

しかし、ケンヂは、上巻の初っぱな
【ともだち】の覆面をはがし、

「お前がこんなふうに死ぬとは思わなかったよ。ごめんな」

という所で、思い出したのかと思いきや、
マルオの問いかけに

【わからない・・】

と答えている・・。
なんと、世界を巻き込んでこんなにも
スペクタクルな事をしているのに、
胸に【宇宙特捜隊のバッチ】をつけて
いるのに、下巻20ページでも

【のっぺらぼう】

である事から、この時点でまだケンヂは
【カツマタくん】を思い出していない、
顔すらわからなかったのだろう・・。

そして、結局、ケンヂは下巻の最後の
最後まで【カツマタくん】を思い出せ
なかった・・。
それは我々も同じで、下巻に突入しても、
まだ本当の【ともだち】の正体が
わからない・・さらに、やっと最後に
【ともだち】の正体が【カツマタくん】だと
わかっても

【カツマタくんって・・誰?んん??】

と、ほとんどの人間が感じたはずだ・・。
でも【カツマタくん】がどこに登場して
いるだの、先に述べたように、これが
【カツマタくん】ではないだろうか?
だとかを論じる事は、実は必要なくて、
【カツマタくん】の存在を思い出せない
という事が正しいのではないだろうか?

つまり【ともだち】が懸命にケンヂに
対して【よげんのしょ】を再現し、
【フクベエ】も【カツマタくん】も

【存在に気付いて!】

と叫び、2人とも自らを【”ともだち”】と
名乗ってまで、ケンヂに

【友達になりたい!】

と訴えているにも関わらず【フクベエ】
は同窓会でも、ケンヂにすぐには思い
出してもらえず【カツマタくん】に
関しては死んだと都市伝説になる程
存在がなかったために、ケンヂだけ
でなく、ケンヂの友人に、さらには、
読者にまでも思い出してもらえない
という、何とも悲惨で悲しい【フクベエ】
と【カツマタくん】の物語だった事に
気付く・・。

そして、この作品のテーマをひとことで
表現するならば、

【カツマタくんって・・誰?】

とみんなが感じた事・・同窓会の時に、

【フクベエって・・誰?】

と感じる事・・
そこに全てが集約されている・・。

また憎いのが、22巻、上下巻の3冊を
並べてみると、せめて表紙だけでも
お友達に・・それとも、本当はこうなり
たかった・・と、受け取る側によって、
もちろんどうにでも受け取れるが、
個人的には、きちんと表紙にも

【こういう事だよ・・】

と密かに答えが描かれていたと考える。
実に深いなぁ・・【20世紀少年】・・。

ちなみに、映画の方はこちらに書いております!

■20世紀少年-最終章-ぼくらの旗【ネタバレ注意!】■