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結局、世界は核をやめられない

新しい内閣を作っておいて、1ヶ月で福田康夫首相
の辞意表明を受けた自民党総裁選は選挙対策という、
昨年以来、3人目の首相・・平成の20年間では
14人目の首相という国際社会では相手にされない
レベルに、もっと危機感を感じないといけないぞ!
という陰で、日本の求める【核廃絶】など超理想論
であり、今の自分の事しか考えない世界においては、
吹けば飛ぶという事を証明するかのごとく、いつの
間にか、世界は徐々に思惑と共に核容認に動いて
いる・・。

アメリカのブッシュ大統領とインドのマンモハン
・シン首相との間で進められてきた【米印原子力
協力協定】をまとめ、核燃料の供給や原発の建設
&核燃料戦略備蓄の建設を支援などの道を開くべく、
国際機関の承認を求めていた。
一応は、表向き【地球温暖化防止】にも世界経済
にも役立つだけでなく、アメリカの【原子力ビジネス】
の機会を広げるのに絶好の機会なんだから、核拡散
防止なんてどうでもいいじゃん!というご都合主義
だけがリアルにわかってしまうというレベルの
今回の無責任協定・・。

これがどれだけ無責任なのか?というと、そもそも、
インドは【核兵器保有国】であるだけでなく
【核拡散防止条約(NPT)】にも加盟せず、核実験
を禁止する【包括的核実験禁止条約(CTBT)】にも
加盟せず、【IAEA(国際原子力機関)】の査察も
受けていない国・・。
そのインドにアメリカは原子力技術や核燃料を提供し、
国際原子力機関や原子力供給国グループから核貿易
の許可を得るための交渉と協力を共に力をあわせて
がんばる!という協定なのだ。

インドにおいては、核燃料と核技術の国際舞台に
おける孤立状態を終える事ができるので、
このチャンスはモノにしたい・・。
ありがたい事に、ブッシュ大統領は【高度な核技術
を有する責任ある国インドは大量破壊兵器拡散阻止
の責任を果たしている】と評価という必死さ!

では、なぜアメリカはそんなに必死なのか?
それは、ご都合主義と言われようが、中国と同様に
経済成長が著しいインドを、どうしてもアメリカ側
に引きつけておきたいという意図がある・・。

さらに、アメリカが理想論を通して、インドと
協定を結ばなくとも、間違いなく、ロシアや
中国が約11億人と言われるインド市場の魅力を
黙っている訳がない。アメリカがやらなくとも、
原子力技術や核燃料の供与を申し出る可能性は
高い・・。

そうなれば、アメリカはインド市場への影響力
が制限され、政治的にもインドとの関係が
難しくなる・・そう・・ハッキリ言える事は、
日本の発言力なんて、とっくのとうに

【カヤの外】

なのである・・【カヤの外】だけで済めば良いが、
日本にとってそんな生ぬるい話では終わらないから
参っちゃうのだ・・(^-^;

このままインドの特別扱いを認めれば、インドに
対抗して核を保有したパキスタン、核廃棄計画を
覆した北朝鮮、さらにはイラクまでもが

【核拡散防止条約(NPT)】

の枠外で

【核保有を容認すべきだ!】

と言ってきた時には、それを認めない理由が
無くなってしまう前例になるのだ・・。
それだけではない・・アメリカの決意が固い
という事は、アメリカの忠犬ハチ公である日本、
そして現在の日本とインドとの関係が、この先
の日本が針のムシロになる事が明白な事だ・・。

このアメリカとインドの原子力協定については、
世界40カ国以上で構成される

【原子力供給グループ(NSG)】

【全会一致の賛成】

が必要だった・・。
もちろん、ここに日本も含まれているので、反対票
を投じる事はできる・・そうすれば

【全会一致の賛成が必要】

なので、否決という事になるからね・・。
しかし、先に書いたように、日本はアメリカの
忠犬ハチ公、インドとの関係を考えると、反対票
を投じる事は恐らくできないと見られていて、
自分の予測では、たぶん日本は【棄権】する事に
なるだろうと思っていたが、9月6日、世界40カ国
以上で構成される【原子力供給グループ(NSG)】
の臨時総会において【全会一致の賛成】をし、
インドの例外扱いが決定した・・。
しかも、インドが新たに核実験をすれば例外扱い
をやめるなどの厳しい条件の明文化はせず、無条件
でインドの例外扱いを認めるというすごい内容・・。

しかし、日本はキッチリと賛成した。(-_-;)
これは大変な事で、世界で唯一の被爆国だから反対、
核廃絶を訴えている国なのだから反対と大きな声で
言えなかった日本の【核廃絶】の発言力は、この事
で世界の中でも、相当弱くなる可能性が高い・・(-_-;) 

悲しいかな・・日本が悪い事をしている訳じゃない
のに、どんどんと【核廃絶】の日本のメッセージは
無力なものになる可能性が高いのだ・・。

さらに、反対票を投じなかった事により

【反対の意思表示をしなかった!】

という事を、日本国民にどう説明するのか?
そして、その結果はアジアで一番キナくさい北朝鮮
にも絶好の発言力を与える結果にもなってしまう。

自分が北朝鮮なら今後間違いなく、

【日本はインドの核保有は認めたじゃないか!】

と言いますからね・・。
案の定、パキスタン国家統制委員会は、

【同じく<核拡散防止条約(NPT)>に加入いて
 いないパキスタンとインドに対して、アメリカが
 平等な態度を取る事ができれば、南アジアの安定
 と全世界の核拡散防止メカニズムの実現にプラス
 になるだろう】

と、早速アメリカを牽制している・・。
インドだけの特別扱いは認める訳にはいかない
立場として当然だよな・・。

この様に、この先、パキスタン、イラク、北朝鮮は
このインドと同じ特別扱いをしろ!と間違いなく
追随してくるだろう・・。
さあ、首相がいない日本&ヘタレ外務省・・日本の
国益をどう守るんだ?
力を持った国と協力すれば、どんどんとこうして
なんでも認めてもらえるようになるという良い例だ。

でもこれが外交なんだよな・・。
北斗の拳じゃないが、いつの時代も力を持ったモノ
が世界を牛耳るのだ・・。
そう子供には伝えたくないけどな・・(-_-;)
ただ、これでどの国も、もう核の拡散を防ぐ事は
考えていない事が明白になった。
今後は、この事例が全ての国において、核を持つ
主張に使われてしまう・・。

日本国民も、見ざる聞かざると目を閉じて両手で
耳を塞ぎ続ける事から、【核拡散防止条約(NPT)】
そのものが不平等条約である事、日本独自の
【外交としての核】を持つ事をきちんと目を開き耳
を研ぎ澄まさせ論議しなくてはいけない時代が
来てしまった事を自覚しなくてはいけない・・。