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TPP参加の是非を考えてみる【第5話】

【第1話】はこちらぁぁぁ・・
【第2話】はこちらぁぁぁ・・
【第3話】はこちらぁぁぁ・・
【第4話】からの続きぃぃぃ・・

もうひとつ、京都大学大学院工学研究科准教授・
中野剛志氏によると、【TPP】で日本として

【我が国が確保したい主なルール】

の中に、

【ISD条項(Investor-State Dispute Settlement)】

という恐ろしいものが入っているそうだ・・。
では【ISD条項】とは何か?そのままの和訳だと

【国対投資家の紛争解決】

で、

【ある国家が自国の公共の利益のために制定した政策
 (ルール)によって、海外の投資家が不利益を被った
 場合には、世界銀行傘下(IMF)の「国際投資紛争
 解決センター(ワシントン)」という第三者機関に
 訴える事ができる制度】

だそうで、訴えられると、【政府の政策が投資家に
どれくらいの被害を与えたか】という点だけに向けられ、
【その政策が公共の利益のために必要なものかどうか】
は考慮されない上、この審査は不透明にも非公開で
行われ、審査の結果に不服があっても上訴できず、
仮に審査結果に法解釈の誤りがあったとしても、
その国の司法機関は、これを是正することができない
というアメリカ中心に勝訴しているアンフェアな代物
・・。
日本が【我が国が確保したい主なルール】である
という事は、訴訟大国アメリカの方にも同じ権利が
付くという事だ・・これは非常に怖い・・(-_-;)

中野氏の挙げる今までの訴訟大国アメリカのテクニック
を披露すると、
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このISD条項は、米国とカナダとメキシコの自由貿易
協定であるNAFTA(北米自由貿易協定)において導入
された。その結果、国家主権が犯される事態がつぎつぎと
引き起こされている。

○カナダでは、ある神経性物質の燃料への使用を禁止して
 いた。同様の規制は、ヨーロッパや米国のほとんどの州
 にある。ところが、米国のある燃料企業が、この規制で
 不利益を被ったとして、ISD条項に基づいてカナダ
 政府を訴えた。そして審査の結果、カナダ政府は敗訴し、
 巨額の賠償金を支払った上、この規制を撤廃せざるを
 得なくなった。
○ある米国の廃棄物処理業者が、カナダで処理をした
 廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクルする
 計画を立てたところ、カナダ政府は環境上の理由から
 米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止した。これに対し、
 米国の廃棄物処理業者はISD条項に従ってカナダ政府
 を提訴し、カナダ政府は823万ドルの賠償を支払わな
 ければならなくなった。
○メキシコでは、地方自治体がある米国企業による有害
 物質の埋め立て計画の危険性を考慮して、その許可を
 取り消した。すると、この米国企業はメキシコ政府を
 訴え、1670万ドルの賠償金を獲得することに成功した
 のである。

要するに、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、
福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする
「治外法権」規定なのである。
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という、恐ろしい条項である・・。
読めばわかるとおり、カナダでは【国民のため】に、
国として問題があるとしていた神経性物質について、
燃料への使用を禁止しただけ・・【国民のため】に、
搬送途中で事故があったりしたら困るから、廃棄物の
輸出を禁止しただけ・・メキシコは【国民(市民)の
ため】に、有害物質の埋め立て計画の危険だからと、
許可を取り消しただけなのに、まるで当たり屋の
ような【ISD条項】における訴訟で賠償金を支払ったり、
規制を撤廃したりしなければならなくなっていると
いう他国の主権を一企業の立場から侵害できる道具
に成り下がって、デクニックを駆使されているのを
見てしまうと、日本は逆に【ISD条項】で訴訟大国の
アメリカの企業に勝てる気がしない
のは自分だけ
だろうか・・?
逆に、日本が他国の主権を一企業の立場で訴訟する国
に成り下がるのも個人的には一国民としてやって欲しく
ないのだが、日本政府は現在22カ国と【ISD条項】を
結んでいるが、今までに訴訟を起こされた事がないから
と、【ISD条項】の導入をむしろ望んでいる・・という
事は【TPP】ついては避けられない事が確定な訳だ・・。

では、何に使われてしまうか?
間違いなく、【第3話】で挙げたアメリカが前から撤廃
を求めているもの全てにおいて可能性が出てくる・・。
残留農薬、ポストハーベスト、遺伝子組み換え、牛の
全頭検査、医療品、医療器具・・などなど、もう
片っ端から訴訟して下さい!とカモがネギしょっている
状態がオンパレードなのが【日本の安全対策】・・(-_-;)
これらを最悪は賠償金を支払った上、他国のために、
規制を撤廃せざるをえないかもしれないのだ・・・。

さらに、【TPP】は農業ばかりで歪曲するが、農業は
確か約10兆円レベルの規模、そして日本人の総食料費
は40兆円弱位と言われている・・。
実はこれに匹敵する部分が医療である。
確か総医療費は約35兆円位・・ここも確実に狙われる
であろう・・。
その危惧のひとつとして【国民皆保険】・・。
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TPP交渉、米が医薬品販売で貿易目標 民主PTで説明
(2011.11.3・朝日新聞)
 環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉で、米国が自国メーカーの医薬品を売りやすくするための貿易目標を掲げていることが分かった。公的医療保険制度による薬代の払い戻しを内外で公平に扱い、米国企業の参入障壁をなくすことを求めている。
 米通商代表部が「医薬品へのアクセス拡大のためのTPP貿易目標」と題する文書を9月に作成。日本の外務省が2日、民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT)で説明した。
 文書では、医薬品や医療機器の関税撤廃で、病院や消費者のコストを減らす▽医薬品の流通障壁を最小化する▽市場に参入する機会を確保するため、TPP各国の健康保険払戻制度の運用を透明化し、手続きを公平にする——などの目標を掲げている。
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医療自由化目標 「入手していた」 米国文書で厚労相
(2011.10.28・日本農業新聞)
 米国政府がTPP交渉で、公的医療保険の運用で自由化を求める文書を公表していたにもかかわらず、日本政府が「公的医療保険制度は交渉の対象外」と国民に説明していた問題で、小宮山洋子厚生労働相は27日、「9月16日に外務省を通じて受け取っていた」と述べ、入手していたことを明らかにした。公的医療制度の根幹である薬価の決定方法が交渉対象になる可能性も認めた。
 参院厚生労働委員会で共産党の田村智子氏の質問に答えた。小宮山厚労相は国民向けのTPP説明資料に「公的医療保険制度は議論の対象になっていない」と明記した理由について、「(医療保険制度自体を交渉する)TPPの金融サービス分野では、議論の対象になっていない」と述べる一方、物品の市場アクセス分野で取り上げられる可能性は認めた。
 一方、同資料とは別の詳細版の説明資料で、オーストラリアが米国との自由貿易協定(FTA)で税負担で薬価を抑える制度を見直した例を紹介したことを挙げ「米豪のFTAの例を引きながら(公的医療制度がTPP交渉の対象になり得ることを)説明している」と弁解した。
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政府はこのように、肝心な事は全部隠していた・・。
この政府の態度を見る限り、発覚しなかったら、
発表するつもり&説明するつもりが無かった
のだから驚く・・。
【国民皆保険】が無くなる事はなくとも、歯医者の
ようにある一定の所から【自由診療】になり、貧乏人
は高度な医療を生命保険会社の保険にでもきちんと
入っていない限り、受けられなくなる可能性も出て来た。
百歩譲って、仮に推進者の言うように【TPP】で日本の
【国民皆保険】が守られたとしても、自分がアメリカ
の立場なら、【TPP】では深追いせず、違う所を狙い、
根こそぎ改善させる・・。
それが先にも書いていた【ISD条項】である・・。
【ISD条項】を必ず付け、今まではアメリカの保険会社
は【ISD条項】を日本に使えなかったから、やって
こなかっただけであり、自分だったら、即座に
【ISD条項】を盾に、アメリカの保険会社に、手術代
をサポートする保険を作ったが【高額療養費制度】が
あるため邪魔された!だとか、【国民皆保険】があり
国民は3割負担と、支払いが安価であるため、我々の
保険に入ってもらえない!国の規制が邪魔をしている!
みたいな難癖をつけ、あらゆる方向から【ISD条項】
による訴訟を起こし、日本政府の公的介入を排除し
根こそぎ改善させる
・・。

怖いのは、素人の自分でもそんな訴訟が思いついて
しまう安易さがバックボーンに隠されている事だ・・。

それと同時に日本の個人資産約1400兆円・・。
このようにアメリカが喜ぶ部分が日本にはきちんと
あるんだな・・。
こうしたわかっている事柄だけで想像するだけでも、
結構【TPPお化け】の想像は恐ろしい・・(-_-;)
【第6話】に続くぅぅぅ・・って、まだ続くのかよ!
【第5話】で終わりじゃなかったのかよ!(゚ー゚)\バキ(爆)●〜*