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話題の【プロペシア】は夢のハゲ治療薬ではないよん!

本日は10月20日(頭髪の日)だという事で、
たまには自分の得意分野のお話でも・・(笑)

今や、TVの薄毛対策番組では、

<医者へ行け!ハゲ(AGA【男性型脱毛症】)の救世主【プロペシア】!>

と、4人に1人は爆発的に生え、2人は
普通に生え、1人は生えないが進行が
止まる、1日1錠で抜群の効果!という、
うたい文句で、それはそれは素晴らしい
効果を挙げ画面の向こうの医師達は、
ここぞとばかり【夢の薬】と持ち上げる・・。

さて、この【プロペシア】・・・
一体どんなものなのか?

もともと【プロペシア】は【前立腺肥大症】
の薬として開発されたものです・・。
【前立腺肥大症】では、前立腺にある
【尿道を収縮する受容体】が増加して
おり、この受容体を遮断するには
男性ホルモンの作用を防ぐ事が
必要でした・・。

しかし、この場合の男性ホルモンとは、
血中を普通に流れている【テストステロン】
ではなく、【テストステロン】と還元酵素の
【5α-リダクターゼ】の働きにより強力に
活性化した

【5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)】

なのです・・という事で、還元酵素の
【5α-リダクターゼ】を【テストステロン】
とくっつく事を阻害するものを作ればよい
という事で、メルク社の研究者がそれを
発見し、これを【フィナステリド】と名付け
られ、【プロスカー】という商品名で
【前立腺肥大症】の薬として発売・・。

すると、【前立腺肥大症】で悩んでいた
男性が【プロスカー】を服用していたら
【男性型脱毛症】でハゲていた頭に
髪の毛が生えてきた!という事で、
1997年にFDA(米国食品医薬品局)
によって認可され、1998年1月に世界初の

<飲むハゲ薬(経口発毛剤)【プロペシア】>

という商品名で発売されました。
日本では、1年間の臨床試験を終え、
2005年10月に厚生労働省に承認され、
同年12月にメルク社の完全子会社
である万有製薬から発売となる・・。

この【プロペシア】・・還元酵素の
【5α-リダクターゼ】阻害剤では
あるのですが、正確には

【2型5α-リダクターゼ】の阻害剤

です。ここで1型と2型の違いですが、

<1型>
【ジヒドロテストステロン(DHT)】の3〜4割
を生成し、陰毛、腋毛、ひげ、頭髪など、
発毛部分にまんべんなく存在する。
頭皮の毛根では皮脂腺に存在する。
皮脂の分泌過剰を引き起こすことにより
ニキビが多い。
脂性。髪の毛がベタつく。
どちらかというと10代、20代で薄毛が
始まる若い人に多い。

<2型>
【ジヒドロテストステロン(DHT)】の
6〜7割を生成し、ひげと前頭部に
集中して存在する。
M型の人はこちらである事が多い。
頭皮の毛根では主に毛髪を生み出す
毛乳頭に存在する。
何年もかかって徐々に脱毛していく
タイプで、遺伝的要素が強い。
前立腺にも多く存在する。
皮脂の分泌も特に多くなく、10代、20代で
薄毛が始まる若い人以外のタイプ、年輩者
に多い。

じゃあ【1型5α-リダクターゼ】に
対してはどうなのよ?という事ですが、
ハッキリと【効果がありません】ので
そちらが原因の場合には【プロペシア】
では脱毛を防げません。

良い効果ばかりを垂れ流し、メディアが
隠している事に【副作用】があります。
メディアが語る唯一の【副作用】が

【男性機能の低下(精力減退)が約2%現れる】

という事。しかし、国内臨床試験時では、
1mg のプロペシアで胃部不快感、性欲減退
など 5% 程度の副作用が認められています。
それと、説明書に【重大な副作用】という事で

【肝機能障害を引き起こす事もあります!】

という事が明記されています。
また、長期や大量に服用すると、男性ホルモン
の【テストステロン】の量が増え、
【1型5α-リダクターゼ】のバランスに
変化が起こり皮脂腺の働きを活発にし、
皮脂の分泌が増える事があります。
(飲み始めに見られる場合も多い)

しかし、それ以上に個人的に一番怖いと
思っているのが、実は【耐性】の問題点
が指摘されているという事です。。。
ここでハッキリと認識しなくてはいけない事は
【プロペシア】は

【ステロイドホルモン剤】

であるという事です。
これは、1年目はそれなりの効果が現れ
ますが、2年目で【1年目の効果の半分】、
3年目で【2年目の効果の半分】と
いうように加速的に減る形で耐性が
ついていく事がわかっています。

メルク社でも

【ステロイドホルモン剤である為、使用方法
 を誤まるといわゆる副腎皮質ホルモン剤
 の様々な副作用が出現する事がある】

と言っています。
もちろん、アトピー性皮膚炎などで有名に
なった【ステロイドホルモン剤】と同じで、
医師の管理下の元でしたら、とりあえずは
問題ありません。

また、【プロスカー】に比べますと
【プロペシア】は有効成分が少ないですが、
それでも、元は【前立腺肥大症の治療薬】
ですので、前立腺が正常な人に使用した
時に【陰萎症状】などの副作用が出ない
保証は、今の所ハッキリしないだけでなく、
前立腺肥大や前立腺癌になった時の
PSA(前立腺特異抗原)への影響も
まだハッキリとしていません。

さらに、厚生労働省の注意喚起で

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<プロペシアと妊娠に関する警告 >
妊娠中か、その可能性のある女性は、絶対にプロペシアを使用してはいけません。砕けたり割れたりしたプロペシアの錠剤をさわってはいけません。男の子を妊娠している女性の体内にプロペシアの有効成分が入ると、それが口から入った場合であっても、皮膚に付着して吸収された場合であっても、男の子の生殖器に異常を起こすおそれがあります。妊娠中の女性がプロペシアの有効成分に触れてしまった時には、医師に相談して下さい。
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という、妊婦が割れた(割れていなければ
コーティングされているので大丈夫)
プロペシアに触れたら奇形児が
生まれる可能性があるので、医師に
相談しなければならないという、実は
すごい恐ろしい薬である事が喚起
されています。

それを毎日飲み続ける訳です・・。

そして最後に、メーカーが言うように

【正常なサイクルにきちんと戻せる】

というのなら、全員に有効例が出ても
よいのですが、まだ一部の人にしか
有効例が出ていませんし、実際には

【フサフサになって元に戻った!】

という所まで回復したという事へは
つながっていません。
さらには長期間に渡る研究がまだ存在
していないものであり、ただ、髪が
今までよりもちょっと良くなった事が
半年〜1年くらいの中で起こるという
事だけです。

なぜ、そう断言できるのか?
【プロペシア】は上記を読んでわかる
とおり、

【脱毛の根本的な原因を治す薬では
 なく、あくまでも脱毛の原因を阻害
 (ブロック)する薬】

であるという事です。
ですから、服用をやめると

【再び元に戻る】

のです・・という事は

【髪を維持するためには生涯に渡って
 それを服用しなければならない薬剤】

という位置付けですが、【ステロイド
ホルモン剤】である以上、現実的
にはいつまでも使い続ける薬ではない、
いずれはやめなくてはいけない薬
なのです。

東大病院では使わない事を表明して
いる事や、まあ、もう子供を作る気
もなく、SEXにも興味が無く、髪が
ハゲた事で死にそうな位悩んでいて、
微妙に1〜2年間だけ髪が生えて
みたい!と思っている人以外は手に
する事をお薦めしないという薬で
あるという事です・・。

決して夢の薬ではないのです・・。