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世界レベルというのは、こんなにも凄いものなのか・・

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テニスの世界レベルというのは、こんなにも凄い
ものなのか・・。
11月15日に行われたテニスの第83回全日本選手権
の女子シングルス決勝で、クルム伊達公子が、現在、
日本ランク8位という第9シードの瀬間友里加(21)
さんに6−3、6−3のストレート勝ち・・。
1963年に41歳5カ月で8連覇した宮城黎子(故人)
さんに次ぐ、戦後2番目の年長記録とな・・。

まさに絶頂期と思われていた1996年、26歳の若さ
で惜しまれながら引退・・。
先日のNHKの【スポーツ大陸】でも、当時の自分
を振り返ると、

【楽しくなかったですね。何のためにテニスを
 やっているのかっていうことが、見えなく
 なってしまいましたね】

と語っていた。
そう・・テニスが嫌いになりかけて、これ以上嫌いに
なりたくなくてやめた・・。
これはたかが部活動で野球をやっていたという小さな
自分の世界でも、こうした部分はいつもあった。
自分は恵まれていた体もあってか、中学も高校も1年生
ながら背番号を頂いていた。
背番号を持って帰ると、両親は喜び、がんばったな!
と言う・・それに最初は快感を覚えるが、束の間で、
現実は先輩を始め、色々な事に気遣うために、野球に
熱中できない・・そんなただでさえ熱中できない精神
状態の所に、結果を絶えず求められ、そのプレッシャー
に押しつぶされそうになる・・。
そこには小学校の頃に初めてグローブを持ち、ボール
を気楽に投げていた自分はいないんだよね・・。
そう・・野球を何のためにやっていて、野球が本当に
楽しいのか?がわからなくなってしまうのだ・・。
これが、伊達公子さんの場合は【世界】なのだから、
とんでもないプレッシャーだっただろうと安易に
予測できる・・。

良き伴侶ミハエル・クルム氏と出逢い、嫌いに
なりかけていたテニスと少しずつふれあいながら
夫の後押しもあり、今年の4月27日、11年半ぶりに
プロのテニスコートに戻ってきたクルム伊達公子さん。

【12年のブランク】

文字にするとなんとなく漠然としているが、常識で
考えると、とんでもないブランクである。
それが勝負の緊張感を求めて復帰すると、わずか
半年あまりで全日本のタイトルを手にした・・。
とんでもない事である・・と同時に、今までの日本に
おいての【若手テニス強化】ではダメだという事を
突き付けた事にもなる。

だから、会見で語った言葉も非常に重い・・。

【復帰してきた人間にパッと勝たれてしまって面白く
 ないと思っているだろうけど、世界に目を向けて、
 そのレベルに近づくために何をしなければならない
 のか、自分で考えてほしい】

という若い選手への言葉・・。
裏を読めば、

【あんたたち、私のいなかった今まで何をしていたの?】

という事だろう・・。
やはり有言実行で自分の姿を通して次の世代に伝える。
充分伝わったのではないだろうか?
いや、伝わっていなくて、ひがんでいたり愚痴を言って
いたりするならば、日本のテニスは世界舞台から
遠ざかってゆくだけだろう・・。