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日本はなし崩し、北朝鮮は大勝利

「北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議は6日目の
 13日午後、北京の釣魚台国賓館で全体会合が
 開かれ、北朝鮮の核放棄に向けた「初期段階の
 措置」と見返りのエネルギー支援などを盛り込んだ
 共同文書を採択、閉幕した。」

6カ国協議で、2月13日に北朝鮮支援が2段階に
分けて実施する事が合意された。大まかには、

○初期段階として60日以内に寧辺(ヨンビョン)の
 各施設を閉鎖・封印。そして、IAEA(国際原子力機関)
 の査察受け入れ、抽出プルトニウムを含めた
 全核計画リストに関する協議。
 →これにより、北朝鮮に重油5万トンの支援

○全核施設の核施設を再稼働できないよう
 (無力化)にする。
 →これにより、北朝鮮にさらに重油95万トンの支援

という合計100万トンのエネルギー経済支援を
するという内容・・しかし、13日・午後11時の
朝鮮中央テレビでは

【(6カ国協議の)会談で各国は、朝鮮の核施設
 稼働の「臨時中止」に関し、重油100万トンに
 相当する経済エネルギー支援の提供を決めた。】

と発表。早くも、北朝鮮の【都合の良い解釈】が
露呈した・・さらに【ウラン濃縮問題】【核廃棄への
検証方法】など【核心の部分】は先送りした中での
合意・・それ以前に、そもそも寧辺(ヨンビョン)の
施設は【老朽化が激しい】所・・。ここの施設の廃棄
など、北朝鮮にとっては、立て替えするための
取り壊しとでも考えれば、どうって事がない内容。
それでひとまずは5万トンの重油をゲットできる
のだから、ある意味、北朝鮮の

【要求を最大限に引き上げて交渉決裂の崖っぷち
 まで相手を追い込んで譲歩を迫る】

という常套手段で、成功を収めたという結果になった。
で、ここまでは表向きの内容。実は裏にさらなる
北朝鮮の成功があるのだ。
イランなどと同様に北朝鮮を【悪の枢軸】として
いたアメリカが予想以上の【軟化】による【アメリカ
との合意事項】が、北朝鮮にとっては、たまらなく
素晴らしい内容なのだ・・それが、

○北朝鮮のテロ支援国家指定を解除する。
○北朝鮮を対敵国通商法の適用を終了する。

この2点である。
【テロ支援国家指定を解除】というのは、今現在、
北朝鮮、キューバ、シリア、スーダン、イランの
5ヶ国が、アメリカの国務省が指定する【テロ支援
国家指定】を受けている。
この中には【経済支援を止める】という内容も盛り
込まれているが、それが解除になる・・。
という事は日本が経済制裁を加えても、どうって
事なくなってしまうのだ・・。
もうひとつ【対敵国通商法の適用を終了】という
のは、今現在、日本と同じように、アメリカに住む
北朝鮮国籍の人たちは北朝鮮に送金ができなく
なっている・・。
これでが終了する事により、北朝鮮が欲しがって
いる【外貨】、しかも【アメリカ・ドル】が流れてくる
ようになる・・。
ひとまず、日本に制裁を受けていても、これまた
どうって事なくなる・・。

北朝鮮は核実験をしたにもかかわらず、核施設
を停めるだけで、こうした【援助】を受ける道を
手に入れた・・北朝鮮の絶望的立場からしたら
成功ではなく【大成功】だ・・。
同時に、中国はメンツが保たれ、アメリカはイラク
問題などでゴタゴタしていた中に、あった北朝鮮
核問題が解決、韓国も、実は北朝鮮にいる同胞
などを間接的に守る事ができた。
結果、日本だけが拉致問題も解決せず、日本の
経済措置の影響力が小さくなってしまい、さらに、
日本は今回の6カ国協議で

【拉致問題でがんじがらめのために意見が言えない】

という立場も露呈してしまい、水面下で
ささやかれていた

【拉致と核は分けて考えなければならない】

という事に一気に弾みがついていしまう可能性
も出てきてしまった。
日本は、一応、第1段階の北朝鮮支援は5万トン
の際には、エネルギー支援の提供には参加しない。
しかし、その後、朝鮮半島の非核化において、
日本だけが何も支援をせずにいい所取りで
いいのか?という反発は当然出てくる。
結局は、第2段階では、日本が直接支援への
参加を求められる公算が大きい。
こうなると、拉致と核は分けて考えさせられた上、
拉致は進展しないまま、日本はなし崩し、北朝鮮
は大勝利を収めるという、最悪の6カ国協議だった
事になる・・。

そして、【核を持つと色々な事をしてくれる】という
メリットがハッキリと証明された。
そもそも、核を持たなければ北朝鮮にこんな支援
をする国はどこもないのに、核を持った事により
きちんと支援を受けられるのだ。
そして、北朝鮮の核は放棄させる事は必死でも、
アメリカは【自国の核の放棄】など何ひとつ考えちゃ
いない事は、全く変わっていないのだ。
要はのど元に刃を突きつけた者が恩恵を受け
られるという、何年経っても平和など、どこの国も
考えておらず、平和とは程遠い【強い者の言う通り
に世界は進む】という事だけがハッキリと位置づけ
られたにすぎない・・。
そして、日本が核を拒否しても、今現在、

【核を持った国でやめた所はひとつもない】

という事は忘れてはいけない。それと同時に何度も
言うが、世界は

【核の無い平和など考えていない】

事もハッキリと認識しないといけない・・。