ここを書くようになってから、色々と調べるようになった。
お陰で同時に色々な事を知る。最初は面倒だったが、最近は
それがうれしい。
今回の「中央青山監査法人・業務停止処分」もそのひとつだ。
カネボウの粉飾決算事件で中央青山の会計士3人が粉飾に加担した
として証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で逮捕、起訴
されている。要は、赤字と知られたくないカネボウの当時の社長と
副社長が、中央青山の会計士3人に
「見逃して下さい!」
とお願いして、中央青山の会計士3人は、
「頼まれたら嫌とは言えなかった」
と裁判でも証言している通り、カネボウからの圧力は相当な
ものだったのだろう。結局、
「わかりました」
と粉飾決算をやってしまった。しかし、それは改めて見ると
すごいもので、
<2001年度分>
赤字・約819億円→黒字・約9億円
<2002年度分>
赤字・約806億円→黒字・約5億円
というとんでもない粉飾決算。
で、この「中央青山監査法人」というのは日本4大監査法人のひとつ。
所属公認会計士1616人、海外28カ所、国内25カ所に拠点を
持つというすごい規模。さらに「上場企業監査数」をみてみると、
<上場企業監査数(2005年)>
1位 トーマツ 844社
2位 中央青山 798社
3位 新日本 779社
4位 あずさ 622社
と第2位。もうひとつ「4大監査法人の収益額」をみてみると
<4大監査法人の収益額(2005年)>
1位 中央青山 62億2500万円
2位 トーマツ 53億3600万円
3位 新日本 40億4800万円
4位 あずさ 30億2000万円
とこちらではダントツの第1位。個人的には全然知らなかったが
とんでもないレベルの監査法人なのだ。
その中央青山監査法人に今年7月からの2カ月間、上場企業など
に対する「法定監査業務」を、一部の例外を除いてすべて停止
するという厳しい内容の「業務停止処分」を出した。これは本当に
「経済界に大激震!」
だろう。同時に見せしめでもあり、
「粉飾を行ったら大変な事になるよ!」
という金融庁のプライドを見せた形だ。それもそのはずで、
2005年の3月に出した<金融庁「懲戒処分」指針>によると、
「意図的に虚偽の監査証明をした場合、
公認会計士→登録抹消
監査法人→3ヶ月の業務停止」
と発表していた。それをふまえると本当は「3ヶ月の業務停止」
のところを「2ヶ月の業務停止」にしていますから、いわゆる
お客様の会社の方への負担を軽減する措置が取られ、むしろ
中央青山にとっては、少し軽い処分だったのかもしれませんね。
いずれにしても、カネボウ、ライブドアと粉飾が出る所をみると
どこも「決算」というのは半分位悪く見ていた方が無難という
事かもしれませんね。