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予約制の功罪【後編】

予約制の功罪【中編】からの続き~

【前編】では、早稲田大学のサークルが
新入生歓迎コンパで居酒屋50人予約を
するも連絡をせずドタキャンする話、
【中編】では銀座の鮨の水谷の試行錯誤
の話・・今回はもうひとつの世界を・・。

いきなりだが、ビックリなのが、フランス
などでは、高級飲食店での当日のドタキャン
は日常茶飯事だと聞く・・。

だから、どっか遠い国の話かと思えば、先日
のテレビの特集でも、日本のあるフランス
料理店が出ていた・・。
なんと最近では、当日キャンセルが1ヵ月に
5、6件になる事もある・・と嘆いていた。

フランス料理などは、肉ひとつとっても、
その場でいきなり焼いて終わり!というの
ではなく、お客様の事を考えて朝から軽い熱
を入れ、肉に負担をかけないように調理・・
みたいに準備や仕込みをやっている・・。
それを考えると想いが踏みにじられる気が
しちゃうだろうなぁ・・と察しがつく・・。

この店では予約のマナーが悪くなった為、

「当日100%、前日で50%」

の「キャンセル料」を取る事にしたそうだ。
で、きちんと払ってくれるのか?というと
電話に出てくれても、あからさまに不機嫌な
感じなり、みんな「逆ギレ」するような形に
なってしまうのだそうだ・・。
それでも、まだ出てくれただけ良い方で、
大抵は電話に出てもらえないそうで、ほぼ
泣き寝入りの状態だそうだ・・。

それは我々理美容の業界も人ごとでは
なくなって来た・・。

業界的に、美容室などは「予約制」を
とっているサロンがほとんどだ・・。
そんな中、ひどい予約制の実態と言うのを
聞いた。。。(^-^;
その中でも衝撃的だったのは、まず、その
お客様はA店を9時に予約する・・。
すると、なぜか次にB店に11時に予約する。
さらにC店にも15時予約する。
そして最後にその方の店を予約したそうだ。

しかもコレ、全て同じ日なのである・・。

で、そのお客様は何をしたかったのか?
当日、起床したら、もう昼の12時を回って
いたそうだ・・。
当然ながら、A店とB店は、もう予約した
時間が過ぎていて間に合わない・・C店も
着替えたり、昼飯食べたりした、ちょっと
忙しい感じになるので面倒・・

「だから、この店に来ました!(^^*)」

と悪びれる事もなく話したという・・(ー ー;)
で、

「その3つの店には連絡したの?」

と尋ねると

「してませんよ!だって、行かなければ自動キャンセルじゃないですか~(^o^)」

と答えたと言う・・(^-^;

凄くありませんか?

もちろん極端な形ではあるが、それは
かなり病んでいるというか、お客様と
こちらサービスを提供する側の気持ちの
乖離は凄まじく激しいようにも感じた・・。
恐らくは常連のお客様ではなく、一見の
お客様だと思うが、こんな時代がすでに
やって来ているのである・・。

そもそも「予約制」はお客様の時間が確保
され、店側も事前に誰がいらっしゃるのか?
がわかるので色々なアプローチができる・・
という、うまく回れば互いに便利で有益な
システム・・。

でも、こうして片方の歯車が狂い始めると
どうしてもお客様の方が身勝手で有利な
システムになるだけで、店舗側は強く
出られない故に不利益を被る形が強くなる。

そう考えると「予約制」は店がスケジュール
を立てられる「利便性」をもらった代わりに、
ドタキャン&失客&損金という「損失性」も
つきまとう・・という「諸刃の剣」・・。

余談だが、現在、自分の店は「予約制」では
ない・・。
だからここまで話して来た「ドタキャン」と
いうケースは1回も発生しない・・(笑)
しかも、混雑の状況を発信しているので、
店への問い合わせも予約の電話もこないので、
結果、店の電話がほとんど鳴らないので
非常に静かである・・(゚-゚)b

今や予約制でないサロンはこのように非常に
静かになるという大きな特権がある・・。

さらに、自分の店のような夫婦2人の小さな
店の特権は、個々のお客様にチェーン店とか
よりも親身になったり、マニュアルには無い
小技を駆使したり「小回り」ができる。
これを「予約制」にしてしまうと、お客様の
追加メニュー要請にも応えられないし、髪型
の徹底的な話し合いも、次の予約時間が
迫っていると徹底的に話し合えなくなる・・。
お客様に教えて欲しいと言われ、髪の事や、
シャンプーや化粧品の事を丁寧に説明したく
とも、その説明も次の予約時間ありきに
なってしまう、さらには施術中に

「ちょっとこうしてあげたいな・・」

と思っても、次の予約の時間をふまえると、
そうした事もできなかったりする・・。

それが、我々のやりたい事なのか?というと
多くのサロンはやりたい事ではないはず
なのに、実は我々サロン側も知らず知らず
のうちに「予約制」に振り回されてしまって
いる・・というのが現状なのである・・。

そうした事をふまえると、個人的には夫婦
2人のような小さなサロンは予約制よりも、
予約制でない方が色々な展開が出来、売上も
上がると考えている・・。
ただ、お客様がいらした時に、初めてその
お客様だという事がわかるので、その時に
瞬時に名前などを思い出さないといけない
為、徹底的にお客様を覚えなければいけない
というデメリットがある・・(^-^;

逆に「予約制」は先に名前を言ってもらえる
ので、実はサロンとして、そこまでお客様を
徹底的に覚えなくて良いのだ・・。
この部分の為に、実は予約制をやめられない
サロンというのは多いんですよね・・(笑)

と、話が逸れてしまったが、本当は事前の

「たった1本の電話」

があれば双方うまくいくはずなのに、それが
難しくなりつつある時代が訪れた・・。
厳格なペナルティがなければ姿勢が正せない
のだとしたら、昨今目につくマナー違反の
中国人を決して笑えない・・(-_-;)