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集団的自衛権・集団安全保障の一考察【Part.3】

【Part.2】からの続き・・!

【Part.2】までは、日本が今現在、論議している
【集団的自衛権】の話というのは、ほとんどは、
世界的に見て【集団的自衛権】ではない事、
そのうちの【集団安全保障】の話を書いた・・。

そして、【集団的自衛権】・・。

「密接な関係のある他国への武力攻撃が発生・・。
 日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から
 覆される明白な危険がある場合に限り、日本の
 自衛隊が一緒に反撃する」

というもの・・。
まぁ、これも世界的に見て【集団的自衛権】では
なく、公明党が手を入れたために、かなりトーン
ダウンされ、実際にはほぼ【個別自衛権(自国に
対する他国からの武力攻撃に対して、自国を防衛
する為に必要な武力を行使する、国際法上の権利)】
の内容になった・・(-_-;)

発表されている8つの例。
1)武力攻撃を受けている米艦の防護
2)邦人輸送中の米艦防護
3)強制的な船舶検査
4)日本上空を横切り米国に向かう弾道ミサイルの迎撃
5)米軍が弾道ミサイル対応中の米艦防護
6)海上交通路における国際的な機雷掃海活動への参加
7)国際民間商船隊の防護
8)米本土が武力攻撃を受け日本近隣で作戦を
 行うときの米艦防護

【グレーゾーン(武力攻撃に至らない侵害への対処)】
1)離島における不法行為への対処
2)公海上で訓練や警戒監視中の自衛隊が遭遇した
 不法行為への対処
3)平時の弾道ミサイル警戒時の米艦防護

とはいえ、こんな事すら、個別の事例ごとに法案を
作ったり、毎回、国会で話し合っていたら迅速に
行動はできない事を考えると、世界標準では幼児
から大人になる第一歩の第二次成長期が来た中学生
になった感じの最低限の進歩だが、個人的には、
大変評価したい・・。
それ以前に、もう単純に考えて、今まで戦後を
守ってくれていた同盟国に対して、同盟国でない
にせよ、友好国に対して、こんな最低限の至極
当然の事ができなかった国、日本・・。

その【集団的自衛権】・・現状の日本の問題点を
整理したい・・。

日本の現状のルールでは、日米安保、日米同盟が
ありながらも、例えば自衛隊機と米軍の戦闘機が
一緒に飛行中、米軍機が第三国の戦闘機に仮に攻撃
を受けた場合、日本の自衛隊機は第三国の戦闘機に
攻撃ができない・・。
という事は、結果、米軍機を見殺しにするという事
になる訳だ・・なぜなら、自衛隊機が唯一攻撃を
できる時は自機が攻撃された時、我が国や国民が
攻撃された時だけであるからだ・・。

仮に、もし現状のルールを破って、自衛隊機が
米軍機を助ける為に、第三国の戦闘機に攻撃など
をし、第三国の戦闘機が墜落し、パイロット死亡・・
などとなれば、自衛隊機のパイロットは、殺人罪で
逮捕されることになるのだ・・。

しかし、この逆の状況であれば、米軍機は躊躇なく、
第三国の戦闘機を攻撃し、自衛隊機を守る・・。
この現状に対し、アメリカ国内でよく議論になる、

「アメリカは血を流しても、日本は血を流す義務は
 無く、逆に日本が血を流せば、アメリカは血を
 流す義務を負う」

という日本が著しく有利で、その隙に高度成長を
成し遂げ「日米関係は対等では無い」という話に
なる訳だ・・。

結果、アメリカの要求は強く未だに「地位協定」
では、米軍基地内での特権や税金の免除、兵士や
軍人として働いている最中の犯罪・事件などに
ついても米軍に優先的な裁判権があったり、
「思いやり予算」などで莫大な出費を命ぜられて
いたりして不利益は蒙っている・・。
しかし、例えそうだとしても、最終ラインの

「血を流さなくて良い」

という金はむしり取られているが、命を守れる
部分がある以上は、日本側が著しく有利である
事は確かだ・・。

そして、この有利さを堅持するために、今回の
【集団的自衛権】【集団安全保障】も含め、
アメリカに追従する外交関係を強いられている
事も確かだ・・。
でも、【前編】でも述べたように、こうして
世界最強の軍備を持つアメリカが睨みを利かせて
くれていたから、戦後70年近く、日本が【不戦】
でいられたたという【日米安保】【日米同盟】を
中心に頑な日米関係による【抑止力】が成功して
いるという「事実」と「実績」があるが故に、
実はいつまで経っても日本はアメリカから
逃れられないままなのである・・。

表向きは今回の【集団的自衛権】【集団安全保障】
は、もちろんさらなる日米関係の強化という側面
を持ち、同時に反米勢力から敵対視される可能性
の危惧はありつつも、実は、自衛隊側(日本側)
の防衛的側面から見ても、外交的側面から見ても、
自立するための一歩を築くと同時に、将来的には、
アメリカに追従する外交関係から、例えば、簡単な
事で言うなら、米軍の基地を日本の自衛隊が借りる
事も出来るようになる・・みたいに、それなりの
対等関係に今後発展し、日本が独立できる可能性
も出て来ただけでなく、他国との関係強化という
アメリカ追従とは別な選択もできるようになる
訳で、将来的には、自国のパートナーを自国自身
が選ぶ事も可能になるという事にもなる訳だ・・。
その代わり、関係する国が増えれば増える程、
その選択を間違えれば、敵対視される可能性も
アメリカ追従の現在以上に増大する可能性・・
という、その先のメリットとデメリットは、

【表裏一体】

であるが、それは、仮に日本が将来的にアメリカ
から自立し、独立国家を目指すのなら、独立を
しなくとも、対等関係にするのならば、必ず
背負わなければならない宿命・・。

しかし、国民の半分がこんなにも感情的に怯え、
他人に血を流させる事は何とも思わなくとも、
自分達で血を流す選択も出来ない・・という
自立しない、この日本国民の状態だと、アメリカ
からの独立などというのは、笑っちゃうくらいに
実現不可能だし、たかが対等関係ですら無理
だわな・・(^-^;(笑)

【Part.4】に続く・・!