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政府無策のツケが企業栄えて国滅ぶ

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パナソニック:調達、物流の両本部 シンガポールに移転へ
(2011年9月14日 毎日新聞)
 パナソニックは14日、調達、物流の両本部を12年4月にもシンガポールに移すと発表した。アジアで安価な部材調達を加速するとともに、円高に対してドルでの調達を増やす。また、世界の取引先企業を1万7000~1万8000社(10年度)から12年度までに約1万社へと約4割減らすなどの調達改革を進め、年約600億円のコスト削減を狙う。日本企業の本社機能の海外移転は異例。取引先企業の削減は、国内の下請け企業に大きな影響を及ぼす可能性が高い。
 部材の購買は利益に直結するため、調達部門は本社機能の重要な位置を占める。専門家は「調達部門を海外に移すのは珍しい。今後、電機以外の業種も含めて追随する動きが出る可能性が高い」(りそな総合研究所の荒木秀之主任研究員)と、企業の“日本脱出”の前触れと指摘する。
 パナソニックは世界に約250カ所ある生産拠点のうち約100カ所が日本以外のアジアに展開。調達部門をシフトすることで、調達から生産までを一貫させ、アジアに比重を移す。シンガポールを選んだのは、インドや東南アジアへの物流が急激に増えると見込まれるため。海外調達の比率は09年度の43%から12年度は60%に高める。アジアからの調達も33%から50%に増やす。太陽電池パネルなど先端技術関連の調達部門は日本に残す。
 これまでは、各生産拠点が個別に部品を調達していた。今後は特殊な技術が不要な部材などについては、シンガポールの調達本部が各拠点の調達情報をまとめて発注し、購入価格を最も安く抑える。調達した部材は外部委託先にも供給する。委託先への物流も担当することで、外部委託先のコスト構造を把握し、納入価格の一層の低減を求める。【宇都宮裕一】
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わかっていた事とはいえ、政府無策のツケが、どんどん
と進む・・【パナソニック】は【1円の円高で38億円の
損失】が生じるとして【パナソニック、調達、物流の
両本部をシンガポールに移転へ】と簡単に書いてあるが、
資材調達というのは、製造での部品などの購買という事
だけでなく【製品開発】だとか【製品戦略】なども含まれ、
単なる購買窓口の変更なんていう甘っちょろい事ではなく、
会社にしてみれば【目】や【脳】みたいな重要な部分が
移転するという事・・さらに物流までも移転ですから
【販売戦略】だとか【血液】【血管】みたいなものまでも
海外に移転する
という事な訳だ・・。
簡単に言えば、もうすでに工場(【臓器】)は海外だった、
それでも調達、物流(【目】【脳】【血液】【血管】)に
関しては日本だったものを海外に移転・・そうちょっと
オーバーだが、日本に【パナソニック】という会社が
名義くらいを残してどんどんと無くなってゆく・・という
事である・・。
このように、まるで【本社機能の海外移転】というのは
異例・・というより凄まじく深刻な事なんですよ・・(-_-;)
インドや東南アジアへの物流が急激に増えると見込まれる
という事もあるが、円での調達が必要なければ、日本に
こだわる必要性もないという事でもある・・。

さらに、自ずと同時に【パナソニック】からの日本の
法人税収入も大幅に減る事になるし、調達先4割削減・・
裾野が広い【パナソニック】ですから、下請け日本企業
には大変大きな影響が出る・・いや、そうでもないのかな?
もうすでに全部海外調達で、日本の下請けなんてほとんど
使っていないのかもしれませんがね・・(^-^;
でも、もしそうだとしたらやはり悲しい事で、日本の高い
技術力がなくても作れる電化製品が増えてきたという事
でもある訳ですから・・(-_-;)

でも【円高放置】【法人税放置】という部分をこちらに
置いておいても、今のアジアの現状を考えたら主戦場を
新興国へシフトする判断は遅かったくらいである・・。
しかし、ウラを読み取れば、超円高で大企業が検討して
いるのは国内に何を残すかという部分・・そんな中、
やはり【パナソニック】という日本の代表する、しかも
松下幸之助氏の生前の考え方からすれば、どうにか
できる所までは日本で・・という【パナソニック】の
日本にこだわった部分も読み取れ、判断がここまで
遅くなった、いや、日本のためにがんばってくれて
いたんだろうなぁ・・と感じるから個人的には複雑だ・・。

もう、日本から逃げ出せない企業以外の製造業、特に
家電メーカーの海外移転は避けられないだろうな・・。
まぁ、ちょっと大袈裟に書いたが、その他にも半導体
メモリー(DRAM)のエルピーダメモリは広島工場の
生産設備の一部(国内生産4割)を台湾子会社に移設を
検討、ホンダはハイブリッド車を2013年にも中国生産、
日産は高級小型車は日本以外で生産へ・・と、日本の
競争力を【グローバル化】すればする程、皮肉にも
雪崩のように空洞化してゆく・・。
その空洞化の加速がついに始まる序曲である・・。
【企業栄えて国滅ぶ】という危惧も含めて・・。