今年の【ノーベル化学賞】が、10月7日に発表となった。
今回の【ノーベル化学賞】は
○デラウェア大学・リチャード・ヘック教授(79歳)
○パデュー大学・根岸英一特別教授(75歳)
○北海道大学・鈴木章名誉教授(80歳)
に決まった。
【ノーベル化学賞】は2000年、2001年、2002年と
3年連続受賞し、一昨年も日本人が受賞している・・。
どんどんと身近になってきますね!(^^*)
今回のノーベル化学賞は【有機合成化学】という分野に
対する評価・・。
【有機】というのは簡単に言うと【炭素を含む燃える物】、
人間も着ている服なども全てこの【有機】・・こうした
ものを【合成】=くっつける、【化学】=人工的という
事で、【人工的に有機物をくっつける】という事・・。
で、この【有機合成化学】・・理系の人間ならば、今回
の理論を詳しく知っている知っていないは別にして、
恐らくほとんどの人が知っている化学・・。
この化学がなければ我々の日常は、全く次元が違うもの
になっていたという当たり前すぎる化学だったりする・・。
その大きな世界の中でも、このご三方の理論は、薬の
開発、液晶テレビ・・と今回の三者の理論はその分野
での功績が大きく、この理論がなければ抗がん剤や
エイズ治療薬、血圧降下剤、農薬、液晶などが相当
遅れていただろうと言われているそうですから、
それが日本人の頭脳で大幅に躍進したというのは、
大変うれしいし、ありがたいですね・・。
ま、いつもながら備忘録も含めて、あとあと自分でも
理解できるように書き留めておきたいと思います。
まず、ベースとなる理論は【有機合成化学(有機化合物A
と有機化合物Bという別の性質の有機化合物をくっつける
事により、新しい有機化合物Xを作り出す)】という事。
で、今回の
【パラジウム触媒によるクロスカップリング】
これがどういう事なのか?
○有機化合物A=【A・ア(Aとアによってできている)】
○有機化合物B=【B・イ(Bとイによってできている)】
とすると、【パラジウム】という金属の力を借りて、
有機化合物X=【A・B】というものを作り上げる。
が、副産物として【ア・イ】というものができる。
これを【クロスカップリング】。
・・と簡単な感じだが、実はさらに条件があり、上記の
例でいう【A・B】が【強固な結合】をし、副産物の
【ア・イ】も良質な結合が行われる事、【ア・イ】の
結合の質が悪いと、周りに悪影響(副産物)=害(毒)
を出してしまうそうだ。
それをふまえて、リチャード・ヘック教授(79歳)の
功績ですが、
1972年【ヘック反応(正確には<溝呂木-ヘック反応>)】
というパラジウム触媒の【先駆け】で、有機化合物の
合成反応を仲介する触媒にパラジウムを使いいち早く
確立した。毒素を出さない結合だが使われる部分が
限られていた。
次に、根岸英一特別教授(75歳)の功績は、
1976~1977年【根岸カップリング】
というもので、この反応によって、亜鉛、アルミニウム、
ジルコニウムなど多様な金属の反応に使え、原料を
作りやすい事や、亜鉛が安い事から、コストが抑え
られる効果もあり、さらに【応用性や効率がUP】した。
しかし、この時点までは、数多くあるカップリングの
ほとんどが、激しい反応をコントロールするために、
【水が入らない】ように、溶液中で反応させるなどの
注意が必要だった・・。
例えば反応容器を洗浄した後、ほんのわずかでも水分
が残っていると使えなかったのだそうだ。
で、最後に、鈴木章名誉教授(80歳)の功績は、
1979年【鈴木カップリング(正確には<鈴木・宮浦反応>)】
という水中でも空気中でもうまく反応を起こさせる
事ができるだけでなく、副産物の毒素をほとんど
出さない、反応容器を洗浄した後、乾燥させなくても
使えるなど工業など、色々な環境下で安易に使える
ように【実用的】にした。
とはいえ、この【クロスカップリング】は、数多くの
ものがあり、優越つけがたいものなのだそうだ。
その中でも、ニッケル化合物を触媒にして、望み通り
に炭素同士を結合させるカップリング反応を玉尾皓平
・理研基幹研究所所長らが、
【熊田・玉尾・コリュー・カップリング】
として、1972年に実は世界で最初に発見したと
されている・・。
最初の発見だったのになぜ?という部分は色々な
見方があるそうだが、今回は候補が多すぎるため
【実用性】で選んだ・・とも言われているし、
鈴木氏と根岸氏は、共に米パデュー大のブラウン
教授(1979年ノーベル化学賞受賞、故人)の
門下生で、ブラウン氏が生前
「アキラとネギシをノーベル賞に推薦したい」
と語っており【推薦者】の影響力が関与したとも
言われている・・。
そうした事を聞くと、その世界でも、純粋に
喜ばれる部分と、やっかみが入る部分、価値観の
違いで納得できない・などが付きものなんだなぁ〜
と感じる・・(笑)まあ、人間が人間を選ぶの
だから仕方ないのだが・・(^-^;
今後は、触媒の【パラジウム】というのは、実は
【レアメタル】
で結構コストも高く、先行き先日のヤクザ中国の
報復措置ではないが、今後何かの問題で日本に
入ってこない事になるかもしれない金属なのだ
そうだ・・ここでも【レアメタル】とういうのは
本当にすごいんだという事がよくわかる・・。
よって今の研究はこの【パラジウム】をもっと
一般に手に入る身の回りにある金属(鉄だとか
銅だとか)、さらにその上で安い金属に置き替え
られないか?というのを模索しているそうだ・・。
また、現在の最先端技術は全てこの有機合成化学が
使われている・・それの始まりは企業が見つけ出して
いるのではなく、大学の研究所、しかも大学院生の
ボランティアのような補助によって作り出されている
そうだ・・。
教授ばかりクローズアップされてしまっているが、
やはりボランティアのような大学院生への金銭的な
補助を早急に考えてあげなくてはいけないよ!>政府。