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モラトリアム法案騒動

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このところ、前原国交大臣と替わって、毎日テレビ画面に出現
する国民新党の【亀井静香金融・郵政問題担当大臣】・・(笑)
当選回数や政治経歴では、民主党の誰よりも圧倒しているせいか、
今回の閣僚の中でも顔や態度だけでなく存在感は大きい・・(笑)
実際、中小・零細企業を積極的に支援するのは大変大切である。
しかし、ただの国民新党の議員という立場でなく、一大臣という
立場での発言と考えると、現在の亀井大臣は言った言わぬの話の
中で自分の主張を正当化しようとするが、そうした話は当事者限り
にしておくべきで、きちんと話し合いそれ相応の内容になった
ところで、その経緯と共に国民にわかりやすく説明をするのが
大臣としての発言であり、客観性のない独りよがりの発言では、
国民はそっぽ向くだけである・・ちょっともったいない・・。

亀井大臣の掲げる

【モラトリアム法案】

について、色々な記事やらニュースやらから読み取る限りでは、
ノンバンクのような高金利系は対象外で、銀行や信用金庫などの
優良な中小・零細企業向け融資と個人向け住宅ローンの元本部分に
ついて希望者のみが返済の条件変更(リ・スケジュール、以後リスケ)
をしやすくするという法案っぽい・・。

実際のところ、我々のように商売をしていると、

【ローンの遅延や延長は実績に傷が付く】

という事で、中小・零細企業は銀行や信用金庫にリスケを申し出る
のは相当勇気がいる・・リスケを申し出た瞬間に、普通に考えて

【この会社は危ない・・】

と100人が100人感じる・・という事は銀行側はもっと勘ぐる
というより格下げする・・。
そこを考えると、その後、どこの銀行も貸したくて貸したくて
仕方なくなる業績になる会社に発展できるならば良いが、リスケを
申し出る会社で、そうなる可能性は低い・・となると、会社は
そうそうはリスケの申し出はできない・・。

そう考えると、法整備されたところで、返済後、運転資金などで
再度、借りる事を考えている会社は、やはりリスケを申し出られない
でしょうな・・その中でリスケを申し出る事が出来るのは?となると、
一生の買い物として借り、次に借りる事がなさそうな一般庶民の
住宅ローン、または、その後借り入れする予定の無い危ない会社が
借りているローン=不良債権になりやすいという図式は安易に
考えられる・・。

さらに、金融機関の融資全体のうち住宅ローンや中小零細企業向け
の融資は7割弱と言われ、貸し出し基準が緩い金融機関などは、
一気に不良債権が膨らむ可能性が出てくる。

となると、この法案がきちん機能できるのか?というところは、
リスケをした債務者に対し、借り手保護の視点に立つ事が肝になる。

○将来の借入が難しくならない事。
○信用保証協会が格下げするなどして保証を妨げない事
○貸し渋りや貸し剥がしが行われない事
 (それをモニタリングできる透明性が確保できる事)
○悪意で利用する者への対策
○国は口を出すだけでなく金を出す覚悟がある事

と言葉では簡単だが、相当難しいはず・・(^-^;(笑)
法成立ができなくとも、金融庁の【貸し剥がし】の原因となっている
検査マニュアルの改正と運用のさらなる改善あたりはできる。
最悪はそこだけでもずいぶんと効果はあると思うけどね・・。

このところ円高の気配を感じながらも、株価は上昇してきたが、
藤井財務大臣は【為替介入を行わない】事を断言しちゃったのと、
中国の景気回復が怪しくなっているのが手伝って、為替も80円代に
一時突入・・あたり前だ・・【為替介入を行わない】という事は、
円が投機の対象になる事決定だからね・・。
それ以外にも予算の組み替え、ダム、日航、その他もろもろと、
やる事が多すぎで、恐らく中小・零細企業のみならず日本経済全般に
関しては年末年始は色々な事が間に合わないのではないだろうか?
その辺を亀井大臣がもし見抜いていて動いていると思いたいが、
仮に3年をしのいでも、その先の景気が変わらなくては、これまた
不良債権の山になる・・その最悪路線だけは避けて欲しいな・・。

いずれにしても、この法律ができたら、【貸し剥がし】はバレやすい
ので少なくなったとしても貸し出し基準が上がり【貸し渋り】は
確実でしょう。
自分が来た道ではないが、一代での【新規】の会社や店舗などは、
想像以上に借りられなくなるでしょうな・・。
自分の時ですら相当大変でしたから・・(^-^;(笑)
という事は、金融機関が、5年後、10年後と景気が良くなった時に
成長する企業を見抜く力、決算書や担保に頼らない本当の【質】を
見る審査の仕方に変わってくるような斬新さにチェンジしないと、
この国はいつまで経っても、今後の成長はなさそうです・・。