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第三次オイルショックの様相

家計を圧迫し、企業業績にも影響を与える

【ガソリン高騰】

が止まらない・・。
米国の原油先物相場は5月22日に一時、

【1バレル=135.09ドル】

の史上最高値をつけた後、120ドル〜130ドルの
あたりを行ったり来たりしているが、やっかいなのが、
今のところ原油価格が下がる要素が見当たらないと
いう事だ。

米投資銀行ゴールドマン・サックスは先月、

【原油価格は6〜24カ月以内に150〜200ドル/1バレルになる】

との見通しを発表した。
原油が1バレル=1ドル上がると、ガソリンには1リットル
当たり0.7円の上昇圧力となりゴールドマン・サックスの
言う通り、200ドルまで高騰すれば、ガソリン価格は
220円程度まで上昇するという単純計算になるそうだ。

そんな原油高を受けて、日本国内ではガソリン価格が
6月1日、各地のスタンドで1リットルあたり170円台に
跳ね上がった。
新潟県の佐渡など場所によっては180円を突破している
所も出てきているだけでなく、長崎県の離島では6月2日
に200円での販売が予定されているそうだ・・。
170円台に突入するのは、1978年〜1982年あたりまで
続いた【第2次オイルショック】以来だという・・(^-^

【オイルショック】

懐かしいというか、やはりこの言葉が出始めてきた
というか・・。
【第1次オイルショック】は1973年の中東戦争→
原油公示価格の21%引き上げ→さらに原油価格を
2倍に引き上げで原油価格が高騰の所に、日本国内
では、日本列島改造ブームによる地価急騰&オイル
ショックにより相次いだ便乗値上げで急速なインフレ
→物価は23%上昇。公定歩合の引き上げで抑制。

【第2次オイルショック】は1978年のイラン革命
により、日本の原油購入国のイランでの石油生産が
中断→石油輸出国機構(OPEC)が原油価格を4段階に
分けて計14.5%値上げで原油価格が高騰。
だがイランが石油販売を再開し、数年後には価格下落。

しかし、今回の【第3次オイルショック】かどうかは
わからないが、その様相は同じオイルショックでも
全く違う背景である。
中国、ロシア、インドなど人口大国での石油の需要が
高まっているだけでなく、イラク情勢など不安定な
国があり、原油が今後安定して供給されなくなる
可能性、世界的な低金利、サブプライムローンなどの
影響でアメリカを中心に株式が低迷・・。
よって、先物の穀物など食料関連と原油のさらなる
値上がりを期待して巨額の投機マネーが原油価格を
4〜5割押し上げている。

原油相場は、経営実態から考えれば、高くても1バレル
あたり70〜80ドルがいい所。
その上積みの50〜60ドルはそうした先読みのマネーに
よって動いてしまっている。
さらに、産油国の自国の道路や空港やその他インフラを
作ったり整えるのに、ある基準で考えられて動いている、
その【想定原油価格】の基準は、なんと、

【1バレル=35ドル】

だそうだ。現在の先物原油相場は【1バレル=120〜130ドル】。
それがすなわち売値ではないが、いずれにしても、35ドル
以上の差額部分は、全部【おまけ】のお金なのである。
その余剰のお金で、今や株式など買う事により【実物資産】
に置き換えているのだ。
なら産油国が、もっと原油を市場に出してくれれば良い
のだが、その途端、原油相場が一気に下落する。
そんな損する事を産油国はやりたくない。
こうした事から、先にも述べたように、今のところ原油価格
が下がる要素が見当たらない・・。

そんな中、日本では【雇用や賃金が減少する中で物価
上昇が発生し、貨幣や預貯金の価値が低下するため
生活が苦しくなる】という即効薬がないという非常に
やっかいな

【スタグフレーション】

が完全に始まってしまっている・・。
4月から連続で月が変わると同時に、ガンガンと物価が
上昇している。物価が上がるという事は、日本国内に
おいての貨幣価値が下がっている、景気も冷え込み
始めているという事ですから、どこをどうみても
【スタグフレーション】である。

以前にも述べたが、この局面を、日本はどうやって
乗り切るのか?
【第2次オイルショック】時の1980年代に原油価格が
上昇して【スタグフレーション】を招いたが、その時
には【原油価格】がほぼ半値まで下落、その後、物価
が安定→バブル好景気に突入し、回避されたという
過去から学ぶならば、やはり【原油価格】が下がらない
と脱却できないという事・・。
反面、産油国はバブル中・・。他の国のためにバブル
を壊す訳ないよな・・悲しいかな・・所詮は日本など、
いや世界など産油国の手のひらの上で踊らされている
だけという事か・・_l ̄l●lll ガクリ