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チベットが世界に問いかけている

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4月25日に長野に聖火が到着、明日の26日にランナーが走る・・。
厳重な警備で聖火ランナーが見えなくなるというのが大方の
予想ですが(笑)、各国でそんな体たらくな聖火をやる意義が
全くわかりませんな・・(爆)●〜*

その中でやはりクローズアップされるのが【チベット問題】・・。
【オリンピックに政治を絡めるな!】ときれい事が色々な所から
聞こえるが、そもそもオリンピック開催国を決めること自体が
政治でしょうが!(笑)
それに、今回も本当にオリンピックだけの事を考えるなら、
聖火が各国をまわるのではなく、即刻、中国へ内緒で持って
いけばいいのに、ここも政治が絡んでいるから各国まわる
のをやめられない訳で・・(笑)
それ以前に、全世界が中国に気兼ねして、この【チベット問題】
を蔑ろにし、見て見ぬフリをしてきたツケが、今まわって来た
だけの話である。

チベット亡命政府議会は、今回も3月15日、中国当局による
人権侵害に対し、【国連(国際連合)】の即時介入と調査を
求めている・・当然の要請だ。
しかし、この【国連】・・チベットに関しては今までも
何かしたという事は聞いた事がない。古くは1950年から、
チベット亡命政府は【国連】による介入を正式に要請している。

チベットの歴史(ダライ・ラマ法王日本代表部事務所)
https://www.tibethouse.jp/history/19501111.html

しかし再度しつこく繰り返すが、チベットに関して【国連】
が何かしたという事は聞いた事もない訳です。
まあ、普通の感覚なら、その理由は簡単に見えてくる。
先日も中国政府が発表したように

【チベット問題は内政干渉だ!】

と中国が言う以上は【国連】は手を出せない。
さらに、中国が【安保理常任理事国】である事から、
【チベット問題】を裁決するようなレベルまで持ち上げる
事は、そうそうできないだけでなく、そうした自国に不利
になる案件に対し最終的に裁決においても中国は【拒否権】
を持っているから事実上は黙認している訳だ。

しかし、そもそも【チベット問題】は、中国の【内政問題】
なのでしょうか?それ以前に、人権問題に【内政干渉】も
何もないのではないでしょうか?
実際の所、現在の国家・国境のほとんどは第二次大戦前、
あるいは戦後すぐの混沌の中で定着した状態から大きく
変わっていない・・もちろん独立した国もあるが、分離独立
であって国境の再編ではありません。
つまり大国が植民地を抱えていた時代のものが、ただ残って
いるだけ・・という事は、【内政問題】ではなく、戦争を
含めた【外交問題の延長線】である事がハッキリとわかる。
でも世界は中国に気兼ねしてそれを認めない。
まあ、それ以前に中国のような、こんな下品で社会的常識
が通用しない国が【安保理常任理事国】である事自体が
末期症状なだけでなく、【国連】自体が所詮は大国の
既得権益を守る為の組織ですがね・・(笑)

しかし、中国はリスキーな事を簡単にやるな・・(笑)
その辺でこの問題に関して、中国国民によるデモが
起こっており、それに対し、中国は中国国民のデモを
今のところ容認している。自国民のこうした行動を
国として規制する訳でもなく、なだめる訳でもなく、
容認してマッチポンプ方式で怒りを表現している。
まあ、中国が怒っているのは別に構わないが、今回は
中国の動きを全世界が監視しているだけでなく、オリンピック
を控えている、しかも【ホスト国】としての重大な立場を
考えると、これらの事はかなりリスキーな話である。

さらに、【チベット問題】は中国自身がきちんとした事を
伝えた上で、起こっている訳ではない。中国は【侵略】
ではない!と言うが、当時、独立国家だったチベットに
対して、1950年1月に、毛沢東が

【寺院が大地主で僧侶が人民を支配するのは封建的で
 ありチベット人は寺院に虐げられている。
 まかせなさい!中国がチベットを解放する!】

と頼んでもいないのに勝手な理論を展開。
人民解放軍が侵攻、制圧して同国を占領、圧倒的な
武力の前に、1951年にチベットは中国の一部である事
を強引に認めさせられた。
しかし、ここで中国とチベットは約束をする。

【自分たちで自治を行い、チベット仏教も尊重する】

という事で協定が組まれた。
しかし、その後、中国は【必殺!手のひら返し!】で、
宗教は毒だ!国家の発展を妨げる!という事でチベット
の民間人を虐殺、暴行や拷問をしたり、ダライ・ラマ
の写真を掲げる事、ダライ・ラマ万歳!などをも許さない
だけでなく、ダライ・ラマの写真を踏み絵させたり
などなどの宗教弾圧、それらを嫌がった人間達は、
裁判も無しに過酷な環境の刑務所に投獄されたり、
労働矯正キャンプに送られたり、拷問を受けたり、
死刑にされたりなど人権弾圧を容赦なく行った。
中国が常々口にする日本の中国大陸への【進出】が【侵略】
ならば、中国のチベット【進出】は完全に【侵略】だ。
日本は支那へ【派兵】はしたが、支那全土を制圧し、
占領した訳ではないからね。
よっぽど、日本の方がロシアが攻め込むのを押さえ込む
ために【進出】したという方が筋が通っている。
しかし、中国はチベットを完全に占領し、未だに図々しく
居座っている訳だ。
現在においても、これは【侵略】以外のなにものでもない。

さらに、中国人は、中国政府は毎年数十億を投資して
チベットの開発や経済援助をしている事を挙げる。

【それだけの事をやっているのに、なぜ不満なんだ?】

と・・。そして、そこを人権問題とすり替えているが、
そもそもチベットの人々は援助を受ける事を決める
権利すらない。チベット側の本音を言えば

【経済援助なんて余計なお世話!誰が中国に支配して
 くれと頼んだ?もう、漢民族は出て行ってくれ!
 放っておいてくれ!独立させてくれ!】

だろう・・。
中国が、宗教を奪い、人権を奪い、チベットを押さえ込み、
中国国民には本当の事を隠し、プロパガンダを続けた結果
で起こっている事を世界は知っている。
知らないと思っているのは漢民族だけなのである。
どこをどうみてもチベット人が怒るのは当然なのである。

そうした政府が聖火を守る裏に何があるのか?を
わかっていない。
かわいそうなのは実は中国人なのである。
その証拠に、【車いすの天使・金晶さん(27)】中国
では聖火を守った!と英雄になっている女性だが、
彼女は日本の番組のインタビューで

【妨害はチベット独立派がしたと思う。非常に怒りを感じた。】

と発言している。
しかし、彼女もまた中国のプロパガンダの犠牲者である。
中国の歴史教科書では

【中国がチベットを平和的に解放】

中国メディアでは

【中国共産党が奴隷だった農民を解放した】
【中国政府はチベット支援に力を入れている】

と【中国がチベットを助けた】と未だにプロパガンダを続ける。
中国政府が世界に本当の情報を伝えない限り、中国人自体
がいつまでも世界の事がわからない。
その結果、中国人自体が世界で下に見られてしまう。

現実的にはチベットにはお金がかかった割に、現在の騒動、
今後もありえる騒動などのリスクを考えたら、中国にとっては
今後何もメリットがないような気がする・・。
ならば、中国はチベットをこれ程ひどい目にあわせ、お金を
かけ、デメリットしかないのにチベットを手放さないのか?
普通の感覚の人間なら不思議である・・。
でも、それは根本には中国共産党が一党独裁の暴力によって
支配している権力の正当性が根拠を失っている上、当然、
チベットの民主化とかチベットの独立とか、チベットの
自治を認めるという事は、中国の中央部の自治を認めたり
民主化を認めたりする事になりますから、単純に
中国共産党政権が崩壊してしまう・・。
そして、何よりも台湾が独立に向け大きく動き出して
しまう事は安易に予想できる。
そこが一番の中国共産党の怖がっている事・・。
さらに、あまり報道されないが、実はチベットには今や
全世界的にどんどんと値段がつり上がっている、クロム
や銅、金、鉄、鉛、亜鉛、リチウム鋼など100種類を
超える鉱物があるのを始め、大規模な原油、石油、ガス田
などがある事がわかっている。
その他、世界の水源の半分はチベットにあるため、豊富な
水資源、その他生物資源、森林資源、貴重な野生動物と
チベットは現在において、すごい【宝の山】なのだ。
そこに鉄道を敷いて、片っ端からそれらを奪い取り持ち去る
だけでなく、チベット高原に核実験場を作り、核廃棄物・
産業廃棄物の捨て場にしている・・
と、欲しいものは奪い取り、要らなくなったものは
押しつける・・チベットは中国の

【核や産業廃棄物のゴミ箱】

でもある訳だ。
このような背景から、どちらにおいても中国はチベットを
手放せないだけでなく、その立場のためだけに犠牲と
なるのは全てチベット人なのだ。

さらに、そんな中、中国は油に火を注ぐべく、

【チベット問題は内政干渉だ!】
【混乱の責任はダライ・ラマ一族と欧米諸国だ!】

と未だに繰り返す・・。
ダライ・ラマ側は【高度な自治】を求めているが、中国は

【ダライ・ラマは中国からの独立指導者】

と中国共産党の立場を守っている限りは、この問題の
解決はありえない。
しかし、チベット独立なり高度な自治を認めたら、先にも
話したように中国のあらゆるところで独立運動が起こる。
それだけでなく、チベットに屈した!という事で、
中国共産党の立場もグンと弱くなる・・。
これも絶対に防がなければならい。
この点に置いても、中国は絶対にチベットを手放せない・・。
こうした事を総合して改めて考えてみても【チベットフリー】
の運動がもっと大きくなる可能性があっても、小さくなる
事は残念ながら考えにくい・・。

でも、山口県光市の母子殺人事件の本村さんのように、
チベット人としては、もっともっと純粋なところを
問いかけている。

【なぜ中国はチベット人から宗教や文化だけでなく
 命までも奪って行くのか?なぜそれを世界は黙って
 見ているのか?そして許し続けるのか?】

その問いかけは中国にではないのだ。
今、世界に発信しているのだ。
我々は、そのチベットに対して

【お前らが弱かったから侵略された訳で仕方ないだろう!】

と切り捨てられるのか?
チベットに賛同しても日本には何もメリットがないからか
日本政府は反応が非常に鈍い。
でも日本だけでなく、各国が何も言わないという事は、
中国に人権侵害を国として公式に容認するという事だ・・。
一生懸命がんばってオリンピックに参加する選手達には
大変申し訳ないが、この問題を、オリンピックを利用し、
主張し、聖火と共に問題がどんどんと露呈する事を始め、
世界を上手に巻き込み、今まで関心がなかった人たち、
本当の事を知らなかった人たちに問いかける手法としては
成功しているなぁ・・と、個人的には評価する・・。
特にフランスのスタンスが非常に優れている。
サルコジ大統領は、人権問題を立場上は否定しながらも、
国として中国をあまり刺激したくない。
しかし、NGO団体の【国境なき記者団(画像の手錠の五輪
マークの団体 https://www.rsf.org/)】を通して外交戦略
としてしたたかにフランスの姿勢を表した。見事である!
日本もこんな外交が出来ると世界と対等になる事が
できるんだろうにな・・(笑)

最後に【オリンピック憲章】に【オリンピズムの目的】
というのがある。
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オリンピズムの目的は、人間の尊厳を保つことに重きを
置く平和な社会の確立を奨励することを視野に入れ、
あらゆる場で調和のとれた人間の発達にスポーツを
役立てることにある。この趣意において、オリンピック・
ムーブメントは単独又は他組織の協力により、その行使し
得る手段の範囲内で平和を推進する活動に携わる。
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と【人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の
確立を奨励すること】なのだが、中国のやっている事は
全くの真逆をいっている。
【オリンピズムの目的】すらどこかに消し飛んでいる
こんな国で、オリンピックが開かれて良いのか?
選手達もスポーツで記録を出す事よりも、考えなくては
ならない事があるのではないか?
もちろん、これが聖火の妨害を肯定する理由付けには
ならないが、今、チベットから確実に世界に問いかけ
られている。