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1審判決を破棄する。被告人を死刑に処する

多くを語らなくても、もう誰もが知っている

【山口県光市の母子殺害事件】

昨日、最高裁が無期懲役の2審・広島高裁判決を破棄し差し戻した
控訴審判決公判で、広島高裁の楢崎康英裁判長は、当時18才の
少年・福田孝行が殺意を否認した差し戻し審での供述について
【不自然、不合理だ】と一蹴した。
今までの個人的な見解は、このブログの2006年6月20日、
2007年5月25日に記している・・興味がある人はさかのぼって下さい。

この事件、実際には最高裁が差し戻した時点で【死刑確定】はほぼ決定
している・・確定している上で、それを回避できるか?があの巨大弁護団
の仕事ですから、あのようなパフォーマンスは仕方なかった・・。
真実かどうか?は検察がやる事、弁護人はひとつでも多く、被告人に
有利になる事を見逃さず戦略として戦わなければならない。
それらを突き合わせる事で真実を追究する。
よって、最後の一人になっても被告人の味方なので、それがドラえもん
や儀式というあの不可解な新供述戦法だったというのも仕方がない戦法・・しかし、結果それが反省していないという悪い方向へ向かって
しまったが・・。

本当は最高裁が自決しても良かったが、もう一度、福田孝行が18歳の
時とは違い、大人になった上で生育状況と共に、事件とどう向き合って
いるのか?、どのように反省しているのか?などを判断させるため
差し戻した。
まあ簡単に言えば【武士の情け】ではないが、少年に対して、もう一度
最後のチャンスを与えたという事だ。

すると、福田孝行側は、いきなり精神鑑定は出してくる、1審、2審で
認めていた【殺意、暴行の意図】を認ないばかりか、6年間言って
こなかった事を供述してくる、殺害についての法医学的な事も、
どんどん出てくる・・。

【刑事事件を軽くするために、嘘の謝罪や反省をしたというのも、
 遺族を愚弄している、嘘の弁解をした事で死刑回避を見い出す
 すべもなくなった】

と広島高裁が述べている事からも、裁判所は我慢強く許してきた事が
うかがえる・・。
その我慢をしながら慎重な判断をしなさい!という最高裁の意向を
受けてやった結果、広島高裁は、それは【不自然、不合理だ】と
一蹴し、全て破棄し否定した。

しかし、専門家からみると、1審から、あのドラえもん新供述が出て
いたのならば流れは変わっていたかもしれないという。
という事は、あとから本当に真実が出てきた場合、取りかえす事は
難しいとも言える事を証明した事にもなるそうだ。

もちろん、福田孝行側は判決は不服として、即日、上告した。
識者の話では広島高裁は最高裁の意向に基づいて慎重に、十分に判断
をしているので、最高裁は早期に棄却するだろうという予想・・。

しかし、

【死刑という判決が出る事で、遺族の感情が癒されるとは思いません。
 ただ納得はできました。人を殺めた罪は、自らの命をもって償う
 という正義感は満たされました。

(死刑は)決して喜ばしい事ではないと思っています。
 今回、死刑という大変重い判決が下されましたが、それで終わる
 のでなく、私たち遺族も重い判決を受けて、これからの人生を
 まっとうに生きていかなければならないと思いますし、社会の皆様
 にも、どうか、どうすれば犯罪の被害者も加害者も生まない社会を
 作れるのか?どうすれば死刑という残酷な判決を下さなくても良い
 社会を作れるのか?考える契機にならなければ、私の妻も娘も被告人
 も犬死にだと思っています。】

という今回の本村さんのセリフ・・安田弁護士あたりが振りかざす、
死刑廃止運動の前に考える事があるだろう!と痛烈に語っている。
さすがである!
今までの発言をまとめたら、世のバイブルとして1冊の本にでもなる
のではないか?と思うほどいつもいつも簡潔で主張がハッキリ理解でき、
素晴らしい・・自分よりも全然年下だが、自分が同じ立場ならもっと
幼稚な事を言っているだろう・・。

恐らく今年中には判決が確定するだろうが、これで死刑が確定しても、
日本という国は、死刑執行までに早くても5〜7年はかかると言われている。
さらに、この先、小泉内閣時代のように

【私は死刑執行命令にサインしません】

と法務大臣に就任した杉浦正健氏のように、死刑反対の【個人的信条】
をつらぬこうとする人間が法務大臣に就任しようものなら、さらに
死刑執行は遅くなる。
(今はガンガン執行をする鳩山邦夫氏だから大丈夫だが・・(笑))
しかし、悲しいかな、世界の民主諸国の流れは【死刑廃止】の動き
ですから、そうした大臣が出現しなくても、執行件数は年々減る
可能性もあるんだよね・・。

と話は逸れたが、先日、本村さんがある番組の独占インタビューで
最後に語った言葉に、自分は少しホッとしている。それは、

【この先、許されるならば、もう一度、家族を作りたい】

と語った事・・。自分が本村さんだったら、死刑執行を確認したら
きっと【後追い自殺】をするでしょう・・。

この先、新しい家庭を作れば

【奥さんと子供を忘れたのか!】【自分だけ幸せになるのか!】

などと心ない言葉が出る可能性を考えると、耐えられないし、じゃあ、
この先、想い出だけで一人で生きていくなんて、これまたきっと
耐えられないだろう・・。
そうした事をふまえながら【新しい家族を作りたい】という本村さんの
言葉はすごくうれしい・・。
今後の人生をがんばって欲しいと思うのであります。