「劣等感 」

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「私らの仕事はやっぱり、何か人と人との関係から仕事が発生するってことは、今はないですね。全部数字ですよ。ここはこれだけの仕事をこういうふうにこなしたから何点って感じで。大体、そういう人と人との関係を重視しすぎると癒着ってことが疑われるますから。向こうも嫌がるんじゃないですか?」
「そうね、今はそんなのばっかりだものね。だからね、役場に勤める人って、普通の大学行ってないあたしらなんか、薄っぺらい、人とも思ってもらえてないんじゃないかって思うのよ。僻みかもしれないけど、やっぱりどう考えているかなんてわからないじゃない?」
「でも人と人との付き合いなんて、どこででも発生する可能性があるじゃないですか?確かに仕事で会う人がもっとも多いけど、さっき話したみたいに役場の人と親しくなることもないし、そうでなくても趣味とかで会うことだってあるじゃないですか。その時に相手の職業なんて気にしないと思うんですけど・・・」
「でもやっぱり、本当に同じように知識があったり、仕事ができたりするから、話ができるんじゃないかしら?で、なんでこんな話なんかしているんだっけ?あ、そうだから食堂も入りづらいのよ。あの食堂、役場の中にあるわけだけど、働いている人はやっぱり役人なの?」
「いや、あれは民間でしょう」
「そうね、そうよね。でもそうじゃないんじゃないかって考えてもしまうのよ」
「・・・そういうものかもしれませんね、ところでトイレってどこでしたっけ」
少し大きめの声で少し離れてしゃべっていた会社の人に問う。
「そこの通路の先にあるわよ」
「あぁ、そうでしたか少しわかりづらいですね、ちょっと行ってきます」
男子トイレに入り、用をたして少しため息をついた。ある意味、どうしようもなく不幸な気がする。「違う、そんなことないですよ、と否定していろいろ話してあげたい気もする。同時に現在の自分の境遇とそれを受け入れるために、そう考えるしかないと思ってしまっているのかもしれない。だとしたらいくらこっちが言っても受け取り側の問題だ。どうにもならない。でも、非常に正直な意見でもあったのだ。
少し離れたところから聞き覚えのある声が洩れてくる。いっしょに来た部長だ。どうやら、私の話相手と話しているようだ。戻ってみると、すでに相手はいなかった。
別に気にする必要もない。部長も、傍らにいて話を聞いていたであろう、」もう一人も特に何も言わなかった。いえなかったのかもしれない。もう考えなかった、今は自分の前にあることをなんとかしよう。自分で何を言っているのか、何を信じていたいのか、自分をどうしたいのか、すべては意思が決めることだ。他の誰かに説き伏せられることでもないし、耳をふさいでもよい。先の責任は自分にあるのだから。
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作:shun

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