「GAME 2」

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 本体とソフト、配線コード、アダプター、これが発掘したすべてだ。確かにホコリはたまっているが、拭き取ってしまえば昔のままだ。初めてやったソフトはテニスだったと思う。確か中学生で、それまでテレビゲームといえば、数年前にはやったゲームウォッチしか知らず、しかも大きな画面でできるものといえば、当時は駄菓子屋の脇に置いてある有料のゲーム機だけだった。奥にいるオバちゃんは、愛想がいいとは言えなく、おまけもぜったいにしてくれなかった。50円でカップメンを買い、その場でお湯をそそぐので、お湯はすぐになくなり、いつもコンロの上でヤカンはシューシューうなっていた。その駄菓子屋も十五年も前にシャッターを閉ざし、二度とそれが開くことはなかった。もちろん、駄菓子屋が閉店したからといって、感傷にひたるようなことはなく、ただ「ああ、つぶれたな」と思っただけだ。時間はあまりにも早く駆け抜けて行ったが、高校生が一駄菓子屋の末路など、考えているほどヒマではないのだ。少年たち(女の子がいた記憶はほとんどない)は人知れずいなくなり、熱中したゲームも、腰掛けた小さなイスも、古い看板もなくなった。
 本体はひとつだけでカセットを交換するだけで、いくらでも別のゲームができる。2人での対戦もできるし、一人でいくらでもできる。電池は交換する必要がなく、ぼくらは有頂天であった。友達と二人、テレビの前にクギづけで、両手はもどかしげにコントローラーを操作する。ひとつのステージをクリアし、次に移行するまでのつかの間の休息、感じた充実感、忘れかけていた当時の情熱はゆっくりとよみがえる。
記憶のままに配線を行い、スイッチをいれる、ぼんやりと浮かび上がる画面、懐かしい音、ゲームはすでにスタートしている、敵が来る前に急上昇、そして落下、次の敵は予想もしないところからやってくる。でも昔の記憶はそのままだ。少しずらして、待ち構える。よし、今だ・・・。
 ・・・画面はブラックアウトしたままだ。いや、正確には、微妙にゴーストのようにぼんやりとした影のようなデモ画面が見えている。スタートボタンを押せば、昔のままにゲームは始まる。しかし、自分はおろか、敵すらも見えない、いや見分けがつかない。配線を確かめる、カセットを何度もの抜き差しし、ホコリはすでに微塵もない・・・。30分もトライしたが結果は変わらない。どこが悪いのか、わかりはしないが、放置期間がなんらか作用し、ご機嫌はナナメなのであるらしい。
 子供は最初、遠めにちょっと見て、すぐ興味を失い、でも懸命にホコリを拭き取り、差込口にある端子部分を無水アルコールを使ってまで掃除するオヤの姿に期待したのか、近づきはした。しかし、いっこうに成果は上がらず、おまけに見にくい画面に吸い付くように、まるでエロ本のモザイクを透視するがごとく、むりやりゲームをやろうとしたのを見て、前よりも少し離れてみるようになり、頬ずえをつき、今では半ばとろとろと眠りかけている。(Page.2へ続く)

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