「素質-3」

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 ロシアの文豪ドストエフスキーはギャンブル狂であった。金の扱いに無頓着で、借金をしまくった。金に困窮すればするほど、一攫千金をねらい、ギャンブルに手を出し、すってんてんになった。その精神は本当のところはわからない。ギャンブルで一攫千金に成功すること自体が目的であったかもしれないが、おそらくはその惨めな生活苦から、自らを一時的でも解放したいという気持が第一にあったのではないか。そしてそのすさんだ生活の中で、鋭い作品を生み出した。視点や世相の反映の仕方が鋭いだけでなく、その表現もキワどく、鋭くドギツイ。わかりにくいが、そのドギツさに流され、読みきる。そのエネルギーに触れるのが辛い。
 この傾向がギャンブルと関係があるか、といわれれば、あるといわざるを得ない。しかし、ニワトリが先がタマゴが先か、といわれたら、判断のしようがない。そんな人格がギャンブルを欲したのか。ギャンブルがその性格を形成したのか。ただ、ギャンブルは人を熱中させるものだが、その人の情念の強さに依存するものだろう。そしてちょっぴり臆病であることが必要なのだ。でないとギャンブルは、単なる金の出入りの激しい裕福な家の遊びになってしまう。

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 彼はほうけ、目もどんよりとさせながら帰路につく。口元にはかすかな笑みを浮かべ、又金を工面した時、ここにあらわれるであろう。それがギャンブラー、より大きな困難に立ち向かい、あざむこうとする心の具現者なのだ。

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作:shun

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