「素質-2」

Page.2

 

 手元の小銭の最後の100円玉がなくなるまで、自分が負けるであろうことを彼は信じようとしなかった。その1回、1回はじき出される玉のひとつでもスタートチャッカーに入っている限り、それは嘘ではない、妄想でもない。実際に最後のひとつ、残りひとつの玉が幸運にもスタートチャッカーに入ることは往々にしてあることだし、代わりに吐き出された玉でまた大デジタルがスタートするのを難解も繰り返し、玉がいっこうに減らないのを見ると何でもありうる。次の瞬間大当たりが始まるじゃあないか、と考えてしまう。
そして本当に大当たりにつながることだってずいぶんあるものだ。
その瞬間、普段こんな困窮時以外では絶対に信じない、神や仏に祈りをささげることすらしかねないのだ。もっともこの信仰は瞬間の安堵とともに影も形もなくなってしまう。そして、代わりに、自分が選ばれた特別の存在だと思い上がってしまうのだ。

(以下次号に続く・・・・)

ご意見、ご感想はこちらへ!!

作:shun

<<<<BACK                  TOP>>>>