「真夜中」
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 たわいもない本であったが、読み終えた時すでに時計はAM2:00を示していた。軽く伸びをしてそのまま寝床に入る。寝床にねっころがったまま読めばよいのだが、返却日は明日だ。どうしても読み終えておく必要があった。寝床には先客が3人もいる。大きなふくらみが一つ、あとの二つは小さく、ニョッきりあしが飛び出している。布団の方向とは異なる方向に、だけど寸分の狂いも許さない並行したそのふくらみが今夜は不自然である。さっきまで動いていたであろうエアコンもすでに役目を終えて静まっている。寒々しい感覚を覚え布団にもぐりこんだ。
 天井を見上げて気が付いた。小さな豆電球がポツリと、しかし自己主張している。・・・それでだ、ふくらみの不自然さとその光景をぼんやり見つめている自分。普段見ていない、見えないものが見えたことによるものだ。納得はしたのだが、電球はやや黄色い光を部屋に投げ続け、そのうとましさから逃れようと手を伸ばしかけたがそうしちゃいけないような気がしてやめた。そしてもっと消極的な方法、全身を布団の中に埋没させることにした。しかし・・・・。
 眠気を誰が食ってしまったのだろうか?やけに時計の秒針のコチリという動きが鮮明に耳につく。神経が高ぶっているのだ、読み慣れない本を期限前に読み終わりその達成感にひたっているにすぎない、考えれば考えるほど神経は研ぎ澄まされていく。覚めた目はまた布団から出て豆電球を眺めることとなった。心拍が聴こえる、秒針の音とリンクする。ドクドク、コチコチ、ドクッ、コチッ、眺める電球までそのリズムで点滅しているかのように感じられる。目をつぶれ!脳は、もっと原始の感覚はそう叫んでいるのだが、その警告をあざわらうがごとく肉体は反応しなくなっていた。眠れず、動けず、できることは一つだけ、それを実行した。ぼんやりとしかし、考えた。とりとめもないこと、例えばさっきまで読んでいた本のストーリー、なんであいつはそんなことをしてしまったのだろう、家庭も安定した家庭もあったのに、平凡だが確実なものがそこにあったのにそれを踏みにじるようなことを彼はしてしまった。どうしてお前は・・・・。主人公のその行動の無計画さ、その結果のバカらしさにほとほとあきれてしまう。ははっ、笑ってしまうよ、俺ならそんなことはしない、ちゃんとそんな危機はすり抜けてしまうさ、うん・・・・いくらでも考えることはでき、その脈略のない状態にもいい加減飽きたところでふと考えた。今は何時だっけか?
(Page.2へ続く)

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