| 「後味の悪い一日」 |
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| どうにもならない気分を引きずってついでにカラダも引きずるように自宅へ続く沿線のフォームへと足を踏み入れた。とどめはここだ。降りる駅での階段位置を意識して自分の定位置に向かう。すでに乗車を待つ人の列は3列目が出来上がるほどだ。こんなときは別に列に並ぼうとしない。少し離れて最後に乗れればいいやと考えた。今日はいいことないし、これ以上いやな気分になるのもいやだった。だが、こっちで避けても向こうからやってくる。どうしたってそういうものなのかもしれない。 左前にA型ベビーカーに赤ん坊を乗せた女性がいた。赤ん坊の大きさからしても、もうA型は対象外じゃないかと思うところではあったが、まさかこの状態で自分の乗る急行には乗らないだろうとたかをくくっていた。しかし、彼女はベビーカーを広げたまま、赤ん坊はそこに鎮座したまま、ジリジリと急行電車の扉への近寄りそのまま抱えあげて車内に入り込んだ。もちろん、混雑時ではあっても子供連れそれも赤ん坊連れで苦労しているお母さんに文句をいうような輩はいない。 けど、周りを知らない大人に囲まれてその人の密集した異様な状態の中で静かにしている赤ん坊はいない。そうでなくても赤ん坊というものは時として奇声をあげたりするものだ、それもみんながそうならないようにと考えているときに。そして奇声は時折ではあったがあがったのだった。その間、お母さんは顔もあげずに赤ん坊をあやしていたのだった。今度こそ、今度こそ自分の降りる次の駅で同じように降りるのだったら、手伝ってあげよう、そう思っていたものの自分が降りたそのフォームにその親子の姿はついに現れなかったのだ。 今日は散々だった。でも明日、いやいつか同じような状況になったら今度こそ最初から行動にうつせるのだろうか、そんな明日は来るのだろうか。そう思いながら明日も電車は走り、そこに自分の姿も見つかるだろう。 |
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作:shun
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