| 「夏の風物詩―その妙なる物―」 |
Page.2 |
|
| その魅力は一体何なのだろう。たしかにその光の軌跡はすばらしいものがあるし、何百匹という群れが乱れ飛ぶ様は幻想的なものだ。ただ前にも書いたように本当に源流の一部でしか見られないようなものでしかないのならば、これほど多くの人を引きつけはしないだろう。元来、ホタルは身近な存在であった。人は自然を切り開いていき、ホタルは人が少しずつ変化させてきたローインパクトな改変に自らのライフスタイルを委ねていた。その生息域はまさしく人と自然が接する場所であった。つまり、ホタルが生息できる場所、それは人と自然が微妙なバランスを保っているということだ。それで人はホタルを見ることでそのバランスを確認し、安心しているのかもしれない。また、そのあがくということを知らない潔いライフスタイル、環境に委ね、子孫繁栄のためだけに生きるその姿には哀愁すら感じられる。その飛び方もけっして速くはなく、漂うという表現がしっくりくるが、ときとして流れ星のように急降下したり光の点滅が途絶えたりする、そんなところも魅力のひとつだと思う。 さて、最後にひとつ。こんな生き物を見るのに、人工の光は似合わない。月夜の晩すらも避けるべきだ。まして生息地の真ん前まで車で乗り付けることなど言語道断だ。あくまで一定の距離をおいて、そっとその命の燃やし方を眺めて欲しい。そうすれば、ほら、あなたの心の中にも小さな命の乱舞が宿るのがわかったでしょう・・・。 |
||
|
ご意見、ご感想はこちらへ!! |
作:shun
|
|