「鼻の話(第一回)」 <おすすめBGM>I WILL SURVIVE/by CAKE/in Fashon Nugget

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 消臭を商売にしている企業も少なくない。ということは、多い?いや、多くないのでやはり、少なくない。女性客の獲得のためのイメージアップの一環としてパチンコ屋では、タバコのにおいを消す空気清浄器を導入し始めている。というかそれが一般化してきた。空気清浄器の核となる物質は天然の中和作用を持つと言われる『植物精油』というものである。これ自体は森の香りのするものではあるが、におわない程度の少量を空気に混ぜることにより、におうものを中和し、無臭にする効果を持つそうである。元々あった森のにおいを売買するとは本末転倒な話である。
 考えて見れば、臭いと判断される多くのものは排気ガスであったり、ドブ川のにおいであったりと我々が都市に作り出したものが多い。僕等の祖先が狩猟生活をしていた頃 は、食物精油に囲まれ、野グソしたって中和され、さほど気にならない程度のものだったはずである。やがて村が出来、町が、都市が、いつでもより住みやすくなるかのように洗練されていき、気付かぬうちに食物精油を追いやり、我々を取り巻く環境を塗り変えて行った。歴史を一人の人間の成長に置き換えて見れば、動物ならまだしも我々において「においなんていらなかったのだ」と、強いては「鼻なんかもいらないんじゃないか?」と考え始めているところまで来ている。
 やはり今回も鼻が消えるという結論になってしまった。本当にこれでいいの?と思いつつ、あともう少しだけ考えて見たいと思う。
  視覚と聴覚を無くして、嗅覚を頼りに生きている人がいる。信じられないことだが、いるもんはしょうがない。その人にとって、『におい』とは一体どういうものなんだろうか?考えてみたが、さっぱり解らなかった。鼻の話はまだ続くの?

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作:Grecoviche

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