記事一覧

柔よく剛を制す

日本・優勝おめでとう!
奇跡のワールドベースボールクラシック(WBC)の堂々たる
走攻守を全て表現する「柔よく剛を制す日本野球」での
「幕引き」には感謝さえする。
この決勝戦は王監督の言う

「ストロング&スピーディー」

がきちんと出た「日本の求める野球」だった。一方、キューバ
は日本が何点取っても、追いつかれるんじゃないか?という
恐怖を感じさせるべく

「パワーベースボール」

と、松坂が投げているのに、軽々、外野に運ばれているんだから、
やはり驚きだ。1回の先頭打者のいきなりのホームランもそうだが、
6回などその「恐怖」が象徴的だ。
1アウトからヒット、ヒットで1塁、2塁。次に3塁線の高速2塁打で
1点、さらにヒットで2点とヒットの積み重ねでの完璧な得点。

「おいおい・・一体何点取られるんだ?・・(^-^;」

と思わせる「恐怖」があった。
しかし、その前の4回もショート川崎のセンター前に抜ける当たり
をファインプレーで救い、5回、松坂と交代した渡辺のピッチング
も圧巻だった。完全にキューバの流れを切った。
しかし、この試合、日本の運命を決めたのはやはり初回の

「キューバの自爆」

である。イチローへのフォアボール、多村へのデッドボール、
小笠原へのフォアボール。これは3つヒットを打たれたのと一緒である。
西岡のヒット、イチローへのフォアボール、松中の内野安打、多村
へのデッドボール、小笠原へのフォアボールで最後に今江にセンター前
ヒットと実は「3安打」しか打たれていないのに「6安打」打たれた
のと同じという、完全な「自爆」で、日本側にたって言えば、チャンス
をモノにした。しかも、キューバ、ピンチにこそならなかったが、
3回にも里崎へフォアボール、4回にはランナーとして出したくない
足のある西岡へフォアボールと、四死球だけで初っぱな5つ=5安打
打たれたのと同様と前半はピッチャーが安定しなかった。

5回は、イチローのレフト線2塁打、松中のライト前ヒットで1塁、3塁。
多村はサードゴロに倒れたかと思ったが、ここでのイチローの巧みな
走塁で、内野安打になったのは見事で、普通、3塁へのゴロでの
ホーム突入はアウトになる可能性が高い。それを

「すごい見事なスタート」

で、キューバの3塁手を翻弄させた。この

「隠れた素晴らしいプレー」

は、なかなかできる事ではない。ここで1点入り、なおノーアウトで
1塁、2塁。そして里崎が、ああいう絶対に決めなければならなく、
2塁ランナーが松中なのでさらに安全圏への高度なバントが要求
される中、キッチリ安全圏へ送りバントで2塁、3塁。
小笠原がきっちりレフトへ犠牲フライで1点となるが、やはり
ここでもキューバの3塁手のエラーからだった。
韓国戦でもそうだったが「エラー」というのは本当に怖いのである。
その日本のエラーと言えば嫌な空気になった7回。

「ショート川崎のなんでもないゴロのファンブル」

次のダブルプレーの時も、結果ダブルプレーで事なきを得たが、なぜか

「ショート川崎がダブルプレーを慌てたかのようなファンブル」

をしている。さらに追い打ちを掛けて普通のファーストゴロを捕った
小笠原からのトスを1塁ベースカバーに入った

「ビッチャーの渡辺がファンブル」

こんな3つの普通では起こりえない「とんでもないミス」が出たのに

「無得点」

で切り抜けたのは本当に素晴らしかった。
しかし、実はその後がいけない。
8回に簡単に日本の攻撃が終わり、なんだか「エラー後に3者凡退」
と嫌な流れの中、キューバに内野安打後、ホームランを打たれ
「パワーベースボール」の前に2点を失う・・。
ここは悪いがビッチャーが何が何でも抑えなければいけなかった。
これで、6ー5の1点差に追い込まれた。

「流れ」

というのは実に怖い。しかし、キューバの「イケイケ!」の流れを
断ち切ったのはまたしても

「キューバの自爆」

だった。9回金城の3塁へのゴロ、送球がワンバウンドして1塁手が
捕れなかった。これはキューバの1塁手は捕らなきゃいけない
ワンバウンドだ。>ここが小笠原と違う所。
小笠原は4回の川崎のファインプレーの送球もワンバウンドだったが
キッチリ捕った。この差はでかいのだ。
なぜなら、キューバの「イケイケ!」の流れだったからだ。
しかし、ここでキューバも次の川崎の送りバントをセカンドを
フォースアウトにし、きっちり日本の攻撃を失敗させ、

「キューバ立ち直るか?」

とも思えたが、ここでアメリカやキューバのパワーベースボール
では考えられない「日本野球」が出る。
個人的には今回のWBC全体においての陰のMVPと思う2番の西岡の

「プッシュバント炸裂!」

一瞬、キューバの2塁手はどうしてよいかわからなかったというような
動きをした。ここでの1塁、2塁はでかい。
なぜなら次の打者はイチローだからだ。
で、イチローの天才的レフト前ヒットでキッチリ仕事をしてくる。
素晴らしいよね。しかも、この時の川崎のホーム突入。
キューバの捕手のブロックに跳ね飛ばされたかに見えた。
が、絶妙に捕手の足の間からベースをタッチしていた。見事!
ボブ・デビッドソンが球審だったら「アウト」にされていたかも
しれない。(笑)
実はここで素晴らしいのはキューバベンチである。
あんなにきわどいプレーで跳ね飛ばされたかに見えたプレーなのに、
抗議もしない。アメリカと違うのはココだ。
実は選手というのはほとんどアウトか?セーフか?はわかっている
時がほとんどである。今回もちゃんと「セーフ」だとわかっているから

「真摯」

なのだ。アメリカのように姑息じゃないのだ。
本当に決勝にふさわしいチームだ。
相手がアメリカで球審がアメリカなら抗議になって、どうなるか
わからない判定だったかもしれない・・・。
さらに、松中が敬遠で満塁。またまた代打・福留が見事なレフト前
タイムリーで2点。この時もイチローがキューバ捕手にブロックされ
うまくかわすも軽く飛ばされるが、ホームイン。
この走塁、実は非常に難しいのだ。
まっすぐ走れば捕手に激突、じゃ、横に逸れて捕手とぶつからなきゃ
いいじゃないか!と思いがちだが、野球には

「ベースとベースを結んだ線より3フィート(約94cm以上)は内外に
 はみ出してはいけない」

というルールがあり、3フィート以上内外入り込んだらアウトになる中、
捕手が横に動いてくる事を考えればあのスペース位でしか突入できない
という、これもまた隠れた素晴らしい走塁なのである。
で、最後にキューバは里崎にフォアボールを与えて満塁となり、
小笠原にライト犠牲フライを打たれ追加点を与える。
とエラーで始まりフォアボールで締めくくるという完全に「自爆」
である。

9回裏に、大塚がこのキューバが勢いづきそうな2塁打を打たれ、
さらにライト犠牲フライを打たれ、またキューバの「恐怖」を
感じたが、そのあとの2三振は圧巻!見事なフィナーレだ!

さあ、日本チームにとって真のMVPは?というと
誰も否定しないであろう

「メキシコ」

だ。(笑)アメリカとの対戦の前に、ディズニーランドへ遊びに
行っちゃって(笑)完全にアメリカ戦は

「あきらめムード」

かと思った上に、誤審審判ボブ・デービッドソン1塁塁審に
ホームランを消され、誰もが

「99%以上の確率でメキシコがアメリカに勝つはずがない!」

思っていた。メキシコも3戦全敗では国に帰れない!という思いも
あったのだろうが、それを勝っただけでなく、日本がアメリカを
上回るための

「2点以上での勝利」

をしてくれたという素晴らしい結末・・・。
2次リーグまで勝ってきた誇りを見た気がした。
さらに謙虚だったのがキューバ。
実は2次リーグ突破が今回の目標だったらしい。(^-^;
日本はもちろん、目標は優勝だった。
でも「思わなければ実現しない」と個人的には思っているので、
今回の日本の目標は間違っていない。

そして、イチローの言葉。

「僕らは王監督に学んでいかないといけない。ただ成績を残した
 方ではなくて、人格の部分でも学びたい」

そう言ってもらえると、個人的に子供時代に「わざとらしいプレー」
と映った「長嶋茂雄」よりも、黙々と控えめにプレーをし、子供の頃
の一番の憧れた世界のホームランバッター「王貞治選手」・・、
見よう見まねで一生懸命練習した「一本足打法」・・。
余談だが、「月刊ジャイアンツ」に、王選手のこの「一本足打法」

「打つ途中の一本足になった最中に子供が2人ぶら下がっても
 ビクともしない!」

と写真と共に記載されていて凄まじく驚いた事が懐かしい・・。
その子供の頃の憧れだった王監督が第1回ワールドベースボール
クラシック(WBC)の世界一の監督として舞う・・。感無量である。

最後に、1敗しかしていないのに、とブー垂れている韓国。
悪いが日本だけ特別なルールにしてもらっている訳でない。
勝つ所で勝たなくてはいけない厳しさに負けたのだから、仕方が
ないだろう。でも、韓国の言い分も一理あるので、次回の
「第2回WBC」は、きちんとその辺論議し、アメリカ中心の
「第1回WBC」をきちんと反省しなければならない。
そうする事により今回の韓国の敗退が生きてくる。
でもね、日本に勝って韓国は2次リーグ突破の際、マウンドに
国旗を立てウイニングランをした。
相手をたたえ合う姿勢の前に、こうした自国中心の「下品」な行為。
サッカーのワールドカップでセンターサークルに国旗を立てて
ウイニングランなどしたら、相手国のサポーターに殺されるかも
しれない。
やはりこういう「下品な国」は、今回のWBCの「最大功労者」で
あっても「初代王者」にはふさわしくなかったのだ。
やはり歴史には運命を感じる。