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耐震強度偽装 

一躍、有名になってしまった「姉歯(あねは)建築設計事務所」と
民間の指定確認検査機関「イーホームズ」。

前者は全てを認めているが、後者は「当社に過失はない」と責任を
否定と対照的。誰がどう考えたって耐震強度偽装建築物21棟中20棟を
この「認検査機関・イーホームズ」が見過ごしたのに過失が無い訳
ないだろう・・。
しかし、不謹慎を承知で言わせてもらえば、耐震強度偽装されていた
とはいえ、実際には震度5弱あたりまでは耐えうるという構造であれば、
ちまたの一軒家の「欠陥住宅」よりはまだマシだ。
いや、勘違いして欲しくないのは、今回の事件を容認するという事
ではなく「程度」の表現の方だ。
ちまたの「欠陥住宅」の方は、タダ住んでいるだけで壊れそうなもの
がいくつもある。ほとんど、業者も倒産して消えていたり、販売会社
が責任を負って建て直しをしたりなどはしない。せいぜい、補修を
繰り返す程度で、あとは買い主のローンが消える訳でも減る訳でも
ないし、市営住宅を補助してくれる訳でもない。他の物件を買える
余裕のない人間は、その欠陥住宅で一生怯え続けるしかないのだ。
施工業者&売り主側は最低限の事を話せば良い。例え隠していた
としてもあとで「ごめんね」で済む。せいぜい宅建の資格が無くなる
位だろうが、また別な宅建所持者を雇えば良い。
そして、例え全面的に欠陥住宅を作っても裁判では建て直しを命じる
事ができない事を良く知っている。確信犯なのだ。
未だに生涯の一番高い買い物をするのに「買ったお前が、買う時に
不勉強だったお前がいけない」という圧倒的な力関係で買い主が
弱い立場なのが現在の施工業者&売り主と買い主の関係だ。
今回の耐震強度偽装事件はこうした「欠陥住宅&欠陥マンション」
を徹底的に排除すべき方向へ向かってくれる事を願いたい。
少なくとも、あるレベルの場合、施工会社、販売会社、設計会社など
含めて、財産を没収してまでも建て直しを命じる位に強い罰則にでも
しないと、この業界の一部悪質な業者は変わっていかないのではない
だろうか?とても自浄作用のある業界とは思えない。
今回も、建築主も検査機関も施工業者も販売業者も、みんな「プロ」
なのに「プロ」の自覚がない。さらに、全員が全員、他人に責任転嫁
合戦。絶対にみんな手を抜いた事は知っているクセに・・・とTVを
観ている誰もが気付いているのに、見苦しい姿をさらす・・・。
仮にみんなが知らなかったとするならば、看板を下げるべきだ。
構造計算書のデータも各メディアで検証していたが、鉄筋の本数など、
建築をかじっていれば簡単にわかる所が手を抜かれているのだそうだ。
しかし、簡単に審査が通っている。さらに、施工業者も施工していて
鉄筋の部分など絶対に気付いているレベルのものだという。
もうこれだけでも今回の業者に限ってみても各社「誇り」など
どこにもないのだろう。
車業界を見てみろ。三菱みたいな会社もあったが、基本的には車
としての部分はほとんどが安心で、その付加価値のデザインや
性能で選べる。少なくとも、このレベルにして欲しい。
やはり造る側が注意された事だけを守ればそれでいい!という甘えた
気持ちを捨て、自分の携わった物件に誇りを持たない事には、今回の
事件も「焼け石に水」なだけで、今後も変わる事はないだろう・・。