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敗戦ペナルティーの特訓

先日の京都府での「少年野球の中学2年生、熱中症で死亡」のニュース。
同じ野球をやっていた者として、また中2の少年は「185cm、89kg」
と自分にそっくりの体型も重なりかなり気になった。

私などは当時かなり大きい中学生だったが、それでも中学2年の時は180cm位だったので、185cmとはこの少年はかなり大きい。
さらに、エースで4番だったという事と、TVで写っていた位牌の
隣には、数々の「ホームランボール」が供えられていた所をみると、
かなり有望だったのだろうと推測する。
高校やプロのスカウトが見に来ていたというが、この体でこの条件
なら本当の話だ。当時の私の時も公立中学だったが、野球が強い学校
だったので、バックネット裏には数々のスカウトの方々がいた。
個人的に推薦も何校かきたが、本当の所は「根性無し」なので
全部断った(笑)
まあ、高校は頭で入学していないと、故障時には退学せざるえない
状況に追い込まれると聞いていたのと、ありがたい事に野球バカでは
なく、一応、入試で勝負できる学力もあったもので・・・(笑)

と話が逸れたが、死亡した中学生、色々な所でニュースでも
報じられているが、改めて確認してもすごい内容だ。
朝5半に起床、7時位から試合前の打撃練習後、午前に1試合行い
勝利、昼を食べて午後に1試合行い敗戦と、普通の人から見ると、
ちょっとハードでは?と思うかもしれないが、実はここまでは
我々も経験したよくある内容である。
ダブルヘッダーで投げるなんて事も当たり前のようにある。
成長期の扱いとしては実際は無茶苦茶で何も考えられていないなのが
中学野球だ。恐らく彼は2試合とも投げているのだと思う。
7回までしか中学はやらないが、単純に2試合で最低でも200球は
投げているだろう・・・。その後で「敗戦ペナルティーの特訓」。
投球練習1時間(つぶす気か?)、20mダッシュを100本、
30mダッシュを100本、土手の坂を登るダッシュを200本を
命じられたと、私自身も経験した事のない驚くべき内容。
毎日こなしているのなら別だが、こういう1回こっきりの過酷な
練習は肉体的には意味がない。
日本のスポーツの悪い風習で、何のスポーツ理論もなくその先には
「根性だ!気合いだ!」という部分だけのために行われている。
今回の事件は最後の土手の坂を登るダッシュ100本の時に熱中症で
倒れ、その夜に多臓器不全で亡くなった。

監督は数年前まで高校野球有力校の監督を務めた経験を持つ監督
だというが、今時、熱中症の理論も知らないで監督していたとは
驚きだ。練習の合間に、ポカリスエットでも飲ませていただけでも
全然違うのに、きっと昔のまま「水は飲むな!」みたいな指導が
まかり通っていたんだろうなぁ・・・。

TVにモザイクが入って監督のインタビューが放映されていたが、
しきりに「子供の体力の無さ」を強調していた。

「死んだのはオレが悪いんじゃなく、子供の体力の無さが問題で、
 今までも同じような事をしてきて、こんな事は一度も起こった
 事がない。従って今回はオレも被害者」

みたいな口調だった。この監督は勘違いをしている。
「死」は一度でも起こってはいけないのであって、事故が起きて
改善するのでは遅いという事をわかっていない。
子供の体力の無さを嘆くなら、それを徐々に克服するメニューに
してゆけば良いだけの話だ。
それを見極め、体力ができたとわかったらハードな練習に
切り替えればいい訳で、そこを省略して気分だけで練習を
組み立てた無能さは、やはり「監督責任」を問われなくてはいけない。