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上村愛子の不遇なモーグル人生【前編】

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モーグル・上村4位の採点に疑問の声続出「なぜカーニーより下?」
(2014年2月9日・デイリースポーツ)
https://www.daily.co.jp/newsflash/olympic/sochi/2014/02/09/0006697211.shtml
 ソチ五輪・スキーフリースタイル・女子モーグル決勝(9日)で、5大会連続五輪出場の上村愛子(北野建設)は4位となり、悲願のメダル獲得はならなかった。
  6人が残った決勝の1番滑走者の上村は20・66点をマーク。最終滑走者のハナ・カーニー(米国)の競技前まで3位につけ、銅メダル獲得の可能性を残し た。しかし、最後に、途中でバランスを崩したかに見えたカーニーに抜かれ4位となり、競技終了後は「3位にこれたかなとは思いましたが、達成感はいっぱい です」と笑顔で語った。
 上村のタイムは6人中1位だったが、モーグルは審判員の採点によって順位が決まる。テレビ中継を見て、「どうして上村の方が(3位の選手より)採点が低 いのか?」という疑問を抱いた視聴者は少なくなく、判定への不満などを表す気持ちを、多くの人がネットの書き込みなどに投稿していた。
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この件に対しては男子モーグルを見てから書こうと
思っていた・・。

<金>ジャスティン・デュフォーラポイント(カナダ)
【ターン】4.1 4.0 4.1 4.0 4.0(12.1)
【エア】4.92 4.92(4.92)
【タイム】31.56(5.42)
【計】74.80%(22.44)

<銀>クロエ・デュフォーラポイント(カナダ)
【ターン】4.1 4.1 4.0 4.0 4.0(12.1) 
【エア】4.20 4.20(4.20)
【タイム】31.71(5.36)
【計】72.20%(21.66)

<銅>ハナ・カーニー
【ターン】3.9 3.7 3.6 3.6 3.8(11.1) 
【エア】4.88 4.640(4.76)
【タイム】31.04(5.63)
【計】71.63%(21.49)
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上村愛子
【ターン】3.5 3.6 3.5 3.5 3.6(10.6) 
【エア】4.20 4.20(4.20)
【タイム】30.46(5.86)
【計】68.86%(20.66)

さあ、恐らく世界の誰もが「???」だった3位に
なったハナ・カーニーのテレビ上でわかっている
だけでも大きく3つミスがあった滑り・・。

ファイル 2218-3.jpg

これがミス無しで滑った上村選手のターン点よりも
上なのか?という不可解・・。

表現が難しいのだが、誤解を恐れずに言うならば、
実は審判というのは、目の前に表れた技術だけで
点をつけているのではない・・。

どういう事か?というと、今回、上村選手はどんなに
素晴らしい滑りをしても、満点になる事は無いと
いう事だ・・。

そして、順番も予選成績が悪い選手から滑る・・。
という事は、一番最初に滑った人・・いや、もっと
言うならば予選3位とかで滑ったとしても、満点が
出る事は絶対にないのである・・。
なぜならば、予選2位の選手と予選1位の選手が
それ以上の滑りをしたら点数の差が無くなって
しまうからである・・。

そこで、上村選手が以前、言っていた【ベース点】
というものの存在だ・・。
そう・・もうオリンピック前から大まかな順位は
決まっているのである・・。
要は、ワールドカップなどを通して年間見ていれば、
オリンピックの時だけ、別次元の滑りをする訳が無い。
ましてや、選手の滑りやクセなども大きく変わる事も
無い・・。

でも、今回の上村選手の滑りがどうなったら満点が
つく滑りになるのか?
例えば、あと数センチ接雪すれば良いとか、頭が
あと数センチ動かなければ良いとか、そんなのは
審判の誰にも分からないのである。
だから、優勝したジャスティン・デュフォーラ
ポイント選手の滑りがどうなったら満点になるのか?
それも審判も含め誰も分からないのである。

だから、シーズンを通して見た結果の基準を設け、
あなたの滑りは審判が決めた気に入られた滑りに
なっている・・いやいや、この滑りは審判が気に入った
滑りじゃない・・と【ベース点】を設け、その【ベース点】
から減点するルールに変えたという事である。

「去年の夏くらいに、ジャッジクリニックがあって自分の
 ベース点を定められました。それをシーズン中には
 知っていたのですが、私のベース点がすごく低いんです」

上村選手本人も、わかっていたが、代弁するなら、

【自分の目指し築き上げた美しいと思う滑り】

でなく、審判が気に入った滑りに切り替える事は、
もうできないではなく、やりたくなかった上村選手の
モーグル人生をかけた抵抗・・だったと自分は考える・・。

【後編】に続く・・!