記事一覧

明らかになってきた横浜市の放射性物質汚染実態

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横浜でストロンチウム検出 福島第1原発100キロ圏外では
(産経新聞・2011.10.12)

 横浜市港北区のマンション屋上の土砂などの堆積(たいせき)物から、放射性物質のストロンチウム90が民間の検査機関の測定で検出され、横浜市が同区の土砂について検査を実施していることが12日、横浜市への取材で分かった。近く結果が報告される。福島第1原発から100キロ圏外で検出されるのは初めて。
 市によると、同区に住む男性が8月、自宅マンションの堆積物の検査を民間検査機関に依頼。堆積物1キロ当たり195ベクレルのストロンチウム90を検出した。この情報をインターネットで閲覧した市議から議会で11日に質問があり、市はすでに検査を開始していることを明らかにした。検査しているのは、男性の自宅マンション屋上のほか、これまで横浜市の同区内の検査で高い放射線量を検出した2カ所の計3カ所。
 文科省の発表によると、放射性セシウム137の検出される堆積物には、ストロンチウムが微量だが一定割合で含まれるとされる。市は「土壌に含まれるストロンチウム90の値が、異常な割合なのかどうかを調べるために調査する」としている。
 ストロンチウム90はウラン核分裂によって生成する放射性物質で、半減期は約29年。カルシウムに似た性質があり、骨に蓄積しやすく、人体への影響が大きいとされている。
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横浜・保土ケ谷の小学校で基準値超え
(産経新聞・2011.10.11)

 横浜市は11日、保土ケ谷区の市立笹山小学校の1階雨どいの下の側溝と、4階屋上の側溝にたまった土砂から、市が再測定の基準とする毎時0・59マイクロシーベルトを超える放射線量を検出したと発表した。
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横浜市緑区の中学校屋上で基準値超え放射線量
(産経新聞・2011.10.7)

 横浜市は7日、緑区の市立鴨居中学校の4階屋上の側溝部分に堆積(たいせき)した土砂から、市が再測定の基準とする毎時0・59マイクロシーベルトを超える同0・86マイクロシーベルトの放射線量を検出したと発表した。
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横浜市港南区の小学校屋上で、基準値超え放射線量
(産経新聞・2011.10.4)
 横浜市は4日、港南区の市立吉原小学校の4階屋上の側溝に堆積(たいせき)した土砂から、市が再測定の基準とする毎時0・59マイクロシーベルトを超える同0・69マイクロシーベルトの放射線量を検出したと発表した
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横浜市港南区の中学ベランダから基準値超放射線量
(産経新聞・2011.10.3)
 横浜市は3日、同市港南区の市立丸山台中学校の3階ベランダの側溝にたまった土砂から、市が再測定の基準とする毎時0・59マイクロシーベルトを超える同0・70マイクロシーベルトの放射線量を検出したと発表した。
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記事内では【ストロンチウム90検出】と簡単に
書かれているが、原子力発電と核兵器においては
必ず【ウラン】や【プルトニウム】の核分裂反応
を利用する・・ちなみに、日本に落とされた核爆弾
も広島に落とされたのは【ウラン】の核分裂反応を
利用した【ウラニウム爆弾】、長崎は【プルトニウム】
の核分裂反応を利用した【プルトニウム爆弾】である。
その【ウラン】の核分裂の際、様々な核廃棄物が
生成されるのだが、その中でも一番の危険な生成物
であり、毒性の強い放射性物質と言われているのが、
【ストロンチウム90】である・・。
また、人体は骨の生成に【カルシウム】という物質
が骨に蓄えられ、使われる事は有名で誰もが知って
いると思う・・その【カルシウム】と化学的な性質
が似て、同じように蓄積し、同じような働きをする
だけでなく、さらに半減期は29年とセシウム並みに
長く、ガンマ線よりも危険度が高いベータ線を出し
続け、骨のがんや白血病を引き起こす恐れがある・・
という恐ろしい放射性質なのが【ストロンチウム90】

なのである・・_| ̄|○

この件については、【六号通り診療所所長・石原氏のブログ】
が参考になります。
(このブログの最後にも転載してあります。)

まあ、9月に【市民からの指摘を受けて】9月12日、
横浜市港北区内の5か所で放射線量を測定、港北区の
大倉山の住宅街にある道路脇の側溝の周辺で、1時間
あたりの1mの高さの放射線量が、0.140マイクロ
シーベルト、50cmの高さでは0.91マイクロシーベルト
が測定され、この側溝の堆積物からは1kgあたり4万200
ベクレルの放射性物質が検出、横浜アリーナのそばの
噴水の堆積物からも35000ベクレルの放射性物質が
検出されていた・・。

当時、なぜか横浜市内の計測は、住民からの指摘が
なければ計測していなかっただけで、プルトニウムや
ストロンチウムやその他のセシウム以外の放射性物質
の計測をきちんとしたならば、セシウムだけ検出する
なんていうレベルではないだろうとは想定していたので、
いまさらビックリはしない・・。

港北区、保土ケ谷区、緑区、港南区・・とこれらの
区の上が都筑区である・・。
東京などと違い、この港北ニュータウン内の小中学校
だけみても【土&砂】の学校ばかりだし、緑や落ち葉、
土や草木が豊富な巨大な茅ヶ崎公園を中心に、結構、
大きめの公園だとかも多い・・。
細かく調べたら、茅ヶ崎公園など恐らくホットスポット
だらけであろう・・。

今回の【ストロンチウム90】検出で、よりフットワーク
を軽く迅速に測定を始める・・というかけ声を期待して
いるが、モタモタしている横浜市・・。
まあ、放射能測定は

【放射能を放出した東京電力が責任持ってやる事】

と考えれば、市民からの指摘がなければ横浜市が
動かないという姿勢なのを責める事もできない
かぁ・・(-_-;)

都筑区の自然が美しい場所で、落ち葉、芝生、土、砂
などに注意してしまったら、秋の自然を全否定する
形になる・・。
この放射能問題で最悪なのが、これから生まれてくる
子供達である・・こうした自然や大地、海、水、空気
までもが放射能に汚染され、自分たちが使ってもいない、
恩恵も受けていないという何も責任がない立場なのに、
我々の愚かな原発事故の後始末の続きを、無理矢理継承
させられ、その果てにもしかしたらガンや白血病が待って
いるかもしれない中に生まれてくる・・。

それでもこの先の命が短い人間達ほど、関係ねえや!と
原発を推進する・・_| ̄|○

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六号通り診療所所長・石原氏のブログ

【放射性ストロンチウムの内部被曝について】
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は今のところはまだ、
取り上げられることの少ない、
放射性ストロンチウムの内部被曝についての話です。

放射性ストロンチウム90は、
セシウム137や134と共に、
原子炉から放出される可能性のある、
放射性元素です。

その量は放射性ヨードと比較すれば少ないのですが、
内部被曝の場合、
ストロンチウムは骨に取り込まれて、
長期間排泄されません。
そのため骨への被曝の影響が危惧される点と、
セシウムと同じように放射線の半減期が長いので、
環境を長期間に渡り汚染し続ける、
と言う点が大きな問題です。

ストロンチウム90の物理学的半減期はおおよそ29年、
つまりその放射能は、
29年経ってようやく半分になります。

その一方で、
ストロンチウムの生物学的半減期は50年余です。
つまり、一旦人間の身体に入ったストロンチウムは、
50年が経過しても、
まだ半分しか排泄されません。

ただ…

この半減期はおそらく、
身体に入ったストロンチウムが、
100%一旦は吸収される、
という仮定に立った計算だと思います。

以前チラとお話したことがありますが、
僕は大学にいた時に、
ストロンチウムを利用した、
カルシウムの吸収の研究をしていたことがありました。

ストロンチウムはカルシウムに、
非常に良く似た性質を持っています。

これはセシウムとカリウムの関係に似ています。

セシウムもストロンチウムも、
通常は人間の身体には存在しない元素で、
それがないことが、
人間にとっては当たり前の環境です。

そのため、人間の身体は、
セシウムとカリウムを区別することが出来ず、
同じようにストロンチウムとカルシウムを区別することが出来ません。

従って、人間が口からストロンチウムを摂取すると、
そのストロンチウムはカルシウムとほぼ同じように、
腸管から吸収されます。

僕はカルシウムの吸収を調べる目的で、
ストロンチウム(勿論放射線は放出しないものです)を、
一定量の食事と一緒に飲んでもらい、
その後4時間の身体へのストロンチウムの吸収量を、
測定しました。
口から入ったストロンチウムは、
30分後には血液への移行が始まり、
その吸収は概ね4時間でプラトーに達するからです。
4時間後の血液を取り、
そのストロンチウム濃度を、
原子吸光という方法で測定するのです。
その濃度から、
どれだけのストロンチウムが腸から吸収されたのかを、
計算します。

この検査を僕は延べ300人以上に行ないました。
多分日本でこれだけ多数の人数で、
ストロンチウムの代謝を調べた研究者は、
僕以外にはいない筈です。

論文にして投稿をし始めた頃に、
大学を辞めてしまったため、
その結果が形になっていないのが、
残念でなりません。

その結果を簡単にご説明すると、
カルシウムとほぼ同じ動態で、
ストロンチウムは吸収されますが、
その吸収率は概ねカルシウムの半分程度です。

口から入ったカルシウムのうち、
吸収されるのは30%程度で、
ストロンチウムの吸収はその半分の15%くらいです。
(僕自身のデータなので、
本に書いてあるものとは、
少し違うと思います)

これがたとえばビタミンDが多い時や、
副甲状腺ホルモンが高い時には、
カルシウムの吸収も通常の倍近くになり、
またストロンチウムの吸収も、
同じように倍近くになります。
ただ、どんなに頑張っても、
概ねカルシウムの吸収率が5割を超えることはなく、
従ってストロンチウムの吸収率も、
25%を超えることはありません。

従って、骨に移行するストロンチウムは、
多い状態で摂取量の4分の1、
通常の状態では摂取量の1~2割です。

一般の換算係数は、
これをもっと多く見積もっています。
従って、ストロンチウムの内部被曝の影響は、
換算されているものよりは、
かなり少ないのではないか、
というのが僕の推論です。
これはあくまで経口の場合の話ですが、
ベクレルとシーベルトの換算係数を見ると、
吸入は経口と比してかなり被曝量が低いので、
いずれにしても内部被曝は少ないと、
想定して良いのではないかと思われます。

それでは、骨に取り込まれたストロンチウムは、
一体どのような影響を、
身体に与えるのでしょうか?

ここで参考になるのは、
放射性ストロンチウムは医療目的で使用されている、
ということです。

使用されているのはストロンチウム89ですから、
ストロンチウム90とは異なります。
その物理学的半減期は50日あまりで、
ストロンチウム90と比較すれば、
かなり減衰は早いのです。

このストロンチウム89を200MBqという大量で、
静脈注射します。
その大量の放射線は、
当然骨に集まります。

何故こんなことをするのかと言えば、
それは進行癌が骨に転移した場合に、
その痛みを緩和する目的で使用するのです。

ストロンチウムはβ線のみを放出します。
そのβ線が患部を刺激することが、
疼痛の緩和に繋がることが、
その原理は明らかではありませんが、
経験的には事実として認識されています。

ラドン温泉に疼痛緩和効果があるのと、
おそらくは似たメカニズムによるものなのでしょう。

放射線は特に骨の破壊によるような痛みには、
その線量にある程度比例して、
痛みを和らげる作用があるのです。

この辺が放射線の1つの不思議で、
「放射能は身体に良い」という一部の意見の、
1つの傍証になっています。
ただ、勿論多量の被曝が身体に良い訳はありません。

しかし、これだけ大量の放射性ストロンチウムが、
骨に吸収されても、
短期的には問題がないのであれば、
一時的な被曝であれば、
線量が余程大きくならない限りは、
大きな問題はなさそうだ、
ということは分かります。
(勿論これは内部被曝に限った話です)

長期的にはおそらく骨肉腫のような骨由来の癌や、
造血器の腫瘍は増加させる筈です。
ただ、放射性ヨードと比較すれば、
その飛散量は少なく、
更には吸収線量も少ないので、
その影響はそれほど大きなものにはならない可能性が高そうです。

問題は矢張り小さなお子さんで、
小児期に骨に放射線が侵入し、
被曝の状態が続くことは、
お子さんの成長を妨げる因子となることが予想されます。

ストロンチウムの経口での内部被曝を予防するには、
カルシウムがあまり吸収されないような状況を作れば良いので、
カルシウムを不足なく摂ることが勧められます。
勿論不足している状態ではその限りではありませんが、
ビタミンDを過剰に摂取すると、
カルシウムの吸収が高まり、
同時にストロンチウムも、
吸収され易い状態が出現するので注意が必要です。

結論としては、
カルシウムの不足や副甲状腺機能が亢進したような、
病的な状態でなければ、
経口でそれほど大量のストロンチウムが、
吸収される可能性は低く、
小さなお子さん以外は、
それほど気にする必要はないものと、
現時点では思われます。
繰り返しになりますが、
胎児と小さなお子さんに関しては、
安全域は分からない、と考えるのが賢明で、
余分な放射線は、
どんな性質のものであれ、
防御するに越したことはないのです。

今日は放射性ストロンチウムの内部被曝について考えました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

(補足)
アルギン酸ナトリウムには、
一定量のストロンチウム排泄促進効果のあることが、
幾つかの研究で確認されています。
詳しくは2011年8月9日のブログ記事で、
ご確認下さい。
(2011年10月12日午後4時補足)
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