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もったいないと思う反面、現実イメージの厳しさ

いやいや、先日、悲しい記事が日本経済新聞に掲載された。
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<理容師志願者、過去最低に 介護分野新資格も>
 志望者減に悩む理容師をめぐり、新たな活路を模索する
取り組みが始まっている。近所の「床屋さん」より美容室に
通う男性の増加などを背景に、今夏の国家試験の受験申込者数
は過去最低を記録。そんななかで、業界団体は自治体と共同で
就職難の若者の受け皿として光を当て直したり、介護や福祉の
現場での活躍を目指す独自資格づくりに乗り出したりしている。
 全国的には理容師志望者は減少傾向にある。国家試験は
毎年2回あるが、現行の実施方法で20回目となる今夏の試験
の申込者数は1232人と過去最低を記録。3306人を数えた
2000年の第1回試験と比べると3分の1近くにまで減った。
大都市を中心に、美容室に通う若い男性が増え、理容室離れ
に歯止めがかかっていないようだ。
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現実は現実・・きちんと受け止めないといけない・・。
記事では触れていないが、実際は美容師も減少傾向にあるはずだ。
そもそも、若い人達の理美容業界への興味が無くなっているのと
同時に、長い期間耐えるような仕事に就きたがらないからだ・・。
そして致命的なのは、同じ国家資格が必要な他の仕事よりも
【社会的地位】が低い事だ・・そうした学歴社会の弊害、
さらには、SMAPのキムタクが美容師役、常盤貴子が車椅子で
障害者の役を演じた2000年放送の【ビューティフルライフ】
などでは、常盤貴子が爆発したパーマを「床屋でやって失敗した」
と言うセリフがある・・我々にとっては、まるで

【美容師は上手で、理容師はヘタである】

という事実誤認な大変失礼な表現だ・・マスコミ&ドラマ自体が
美容室を【カッコよく】理容室を【ダサく(カッコわるく)】と
対比してイメージを作りたがる・・でも、そう文句を言っても、
みんなから見たらそういう風に見えているという事なのだと、
我々、理容師側もきちんと認識しなくてはいけない・・。
正直、【ダサい】理容室が多いのは否定しない・・。
さらに、夫婦や家族単位で経営をしているので、色々な事に
おごりが出て気付かない・・その点、美容室は第三者が常に
入ってくるので、そこをきちんと修正してくる。
よって、理容室でも従業員をつかっている所はきちんとしている
所が多い・・と自虐的になってきたが(笑)それらをふまえても、
自分などは、逆に理容師も美容師も含め、

【なんでみんなこの仕事をしないのだろう?】

と不思議に思う人間の一人だ。
また、女性などは会社に就職しても、なかなか理想の役職に就く
事が出来ない確率が高い昨今、女性の理容師などは、実は技術者
としても、お客様側からしても【引く手あまた】なのである・・。
愛嬌があって、接客がしっかりしていて、技術が上手だったら
実はその店というのはかなり繁盛する・・。
それは単純な理由で、基本的に、男性は女性に施術してもらう
のは好きだからだ・・(笑)

確かに夫婦でやるレベルでは、手間仕事ですからボロ儲けは
できない・・だが、そんなものよりも素敵な魅力がたくさん
ある・・。

先日、【ルビコンの宮殿】で、日本理化学工業株式会社という
チョークの会社を取り上げていた。その会社の大山泰弘社長が
語っていた【人間の究極の幸せ】というものがあった。

1.人に愛されること
2.人に褒められること
3.人の役に立つこと
4.人から必要とされること

の4つ・・1の【愛される】というのは4の【必要とされる】
というのと融合されてしまう感はありますが、例を挙げる
ならば、自分なども、以前池袋で11年お店を営業していた
のですが、横浜に移店して8年弱になるのだが、未だに
60名以上もわざわざご来店下さっている・・。
本当に頭が下がるし、感謝してもしきれない・・。

2の【褒められる】というのも、自分、もしくは店の従業員
の事が嫌いだったり、やっている施術が嫌な(自分に合わ
ないと思う)お客様は絶対に店にはいらっしゃらないのだ。
そう・・毎日が【ファンの集い】なのです・・。
ただ【ファン】に囲まれて褒めらる毎日なので、自分自身に
おごってピノキオのように勘違いして鼻が高くなりがちなので、
それをきちんとマメに自戒して折り続けないといけない・・。

3の【役に立つ】というのは、置き換えれば【感謝される】
という考え方にすると、理容業というのは、お金を頂いた上に、
お客様の方から「ありがとう」と言われる仕事なのです・・。
それは、こちらが強引に言わせるのではなく、お客様の方から
自然と「ありがとう」の言葉が出る・・この魅力に取り憑かれ
たら、この仕事はやめられない・・。

このように、自分は理容業において、この4つは全て手に入ると
思うんだな・・さらに個人的には自分自身が満足する(喜ぶ)
事ができると思うんですよね。

その他にも、自宅でやる分には通勤時間がない、暑い時には
涼しいところで仕事が出来、寒い時には暖かいところで仕事
が出来る、さらには手仕事なのでボケにくい(らしい・・(笑))、

もっと細かい部分では、現場に出てお客様とふれあい続けて
いたいのならば、ハゲても老けても現場の第一線で仕事が
できる・・(笑)ここは美容室には無いところ・・。
そもそも女性は、老けていたりハゲていたりする男性に大切な
髪を触られたくない、そうした人間はセンスがない・・と
なりがちだが、理容師は信頼さえあれば基本的に、その辺の
部分は痛手ではない・・そこが大きくわかるのが、そもそも
我々の時代でも理容師の2倍は美容師がいる。
理容室は扉を開けると、夫婦や家族での場合がほとんどなので、
おじいさんやおばあさんが働いていたり、もちろん中年の
おじさん、おばさん、若い夫婦、息子や娘だったり実に幅広く
どの年齢でもそれなりにきちんと【現場】で働いている。
しかし、辺りの美容室を見渡してみれば一目瞭然で、若い男女
の姿しか見かけない・・理容師の2倍も美容師はいるのにだ・・。
そう・・美容師は30〜40歳の年齢を境に【現場】には出られ
なくなる・・というよりも、現場が年を取った美容師を必要
としない環境を作ってしまったのだ・・。
とはいえ、やはり、老けたりハゲたりすると理容師も若い
お客様は獲得できなくなりますけどね・・。

でも、自分は記事のような部分はなんら怖がっていない。
なぜならば、男性は髪が薄くなったり、年齢を重ねてくると、
なかなか美容室の華やかすぎる空間は居心地が悪くなる。
そのためには、自分におごらず、きちんとした接客、施術、
その他必要とされるものを揃えていれば、やがては戻って
来る・・自分などは、年齢も増したので、今や経営的に
若いお客様のゾーンは考えていない・・。
ましてや、この先、若い人はドンドンと少なくなる。
そのゾーンを狙っても美容室とかぶる割には売り上げは
上がらない・・となると狙うところはおのずと決まってくる。
よって、理容室で狙っているゾーンを間違えずに、きちんと
やっているところは、実は売上もお客様数も落ちていない
はずです・・。

ただ大きな枠になると、やはり記事のような状況なんだよね。
でも、どの仕事もそうだが、きちんとやればそんなに恐くない。
そして、理容師に限らず、初心を忘れない事だ。
例えば、自分も含め人間は子供が生まれると、最初は【五体満足】
だけで十分に幸せなのだが、親としてどんどんと欲が出てくる・・。
仕事も同じで、仕事をできる事だけで十分に幸せなのに、そこに
悲しいかな・・もっと多くのお金や社会的地位など欲が出てくる。
自分への戒めも含め、大好きな仕事を明日からも頑張ろうと
思います・・はい・・。