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保護主義拡大・・でも日本のできる事は・・

急速な経済悪化により、世界の各国が【保護主義】と
考えられる経済対策を続々と打ち出している・・。
世界貿易機関(WTO)の調査では、3月時点で
23カ国&地域が、輸入製品に免許制を導入するなど
85件の保護主義的政策を導入。
1月時点の16カ国・地域19件から4倍超に急増した。
アメリカはご存じの通り、景気対策を最優先させるために、
オバマ大統領が妥協し、自国製品を優先的に購入する

【バイ・アメリカン条項】

を景気対策法案に盛り込んだ他、自動車ビッグ3に対し、
公的資金を導入する形で、救済策をすすめ金銭的に
支援しているのも立派に【保護主義】の流れ・・。
その他、ロシアでは、外国製自動車の関税を、新車25%→30%、
中古車37%→67%に引き上げる事で自国の自動車産業を保護、
その他、EU、韓国、中国、インド、ウクライナ、エクアドル、
ブラジルなどなど関税の引き上げを行った。
また、中国は輸出企業に対し、553品目で税金の1%を【還付金】
という形で戻し支援を強化、先に書いたように、アメリカは
自動車ビッグ3に対し、公的資金で支援を強化と、その他、
欧州各国、台湾、カナダ,アルゼンチン、オーストラリアなど、
特定産業を支援している。
インドは、鉄鋼製品などの輸入制限のように、インドネシア
などは、密輸品対策を名目に、業者を絞り、通関できる港や
空港を規制、アルゼンチンなども、特定商品の輸入に制限を
設けたり、輸入を許可制にしたり、ブラジルなどは、輸入手続き
を複雑化させ、なかなか輸入品目が自国に入ってこられない
ようにと、あの手この手の色々な方向性の【保護主義】が
世界中に広まっている・・。

では、【保護主義】に反対している日本は関係ないのか?
と思いきや、コンニャクイモの緊急輸入制限(セーフガード)
の自動発動、一部の地方自治体が、地元企業がつくる自動車
や電気製品の【地場産業】の調達を奨励しているというのが
【保護主義】に当たると判断されて非難されているそうだ。

昨年11月のG20(先進国と新興国など20カ国・地域)による
第1回金融サミットで【反保護主義】を掲げたにもかかわらず、
上記のように今年に入って急拡大、第2回金融サミットでも、
【保護主義】への反対をあらためて宣言したが、実情は、
国内の産業や経済界からの圧力はものすごい訳で、一筋縄では
回避できないというのが各国の本音であり、エゴが見え隠れする。
日本も例外でなく、最終的には周り巡って、一番海外の影響を
受ける日本の農業をどうするんだ!という所へ必ず戻ってきて
しまう・・わかっているのだから、強い農業の対策をどんどん
と行わなくてはならないのに日本の腰は重い・・。

世界の全ての国が関税を引き上げではないが【保護主義】へ
向かうと、最終的には貿易量が小さくなる。
さらに、自由に輸入できていた品目が一時的に輸入できなく
なる事により、物が調達しにくくなり企業のコストが上がる。
このように、一時的には良くなっても、その後は悪い方向へ
向かう・・。
以前、1929年・世界大恐慌となり、世界は保護主義へ・・
1930年【スムート・ホーリー関税法】がアメリカで通り、
関税が大幅に引き上げられた。
農作物・約12%、羊毛・約10%を始め、その他の2万品目以上
が対象で、平均約2%の引き上げとなった・・すると、他国は
【報復関税】として自国の関税を引き上げたため、当時、
3年で世界の貿易量が30%ダウンした・・。
さらにその結末は、第二次世界大戦へ・・という愚かな教訓がある。
現代は、そこまで愚かでなくとも、もしどこかの国が不適切な
行動をとれば、世界的な【貿易戦争】は起こる可能性がある。
そのカギを握るのが、2大貿易大国であるアメリカと中国。
いずれにしても、この2国が完全に【保護主義】へ動いたら
もう歯止めは利かないだろう・・。

とは言うものの、こうした自由貿易体制が崩壊すると、
一番問題を抱えるのは、物を作り、世界にそれらを売って
富を得ていた日本なのだが、大恐慌の教訓に学べ!と言われても、
アメリカと中国が暴走したら、実は日本ができる事はあまりない・・(笑)
見守るしかないというか、自由貿易体制を強化する形で提案や
枠組みをするくらいしかない・・もちろん、日本の農業を
どうするのか?まできちんと対策を打った上でなければ説得力は
ないので、日本もまだまだ課題が山積みではある・・。