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若い世代への負担をこれ以上増やしてはいけない

75歳以上を対象とする【後期高齢者医療制度】・・。
75歳の線引きを始め、色々とマスコミが【廃止】を
煽っているので、年配者の感情論と、野党は選挙前の
人気取りのため【後期高齢者医療制度の廃止】、与党
も見直し案で保険料の不足分など2年間で【890億円】
になるが財源は未定・・などというという、ろくでも
ない方向へ突き進んでいる。

そもそも【後期高齢者医療制度】になったのは、75歳
以上の人は市町村の国民健康保険に加入しながら、
老人保健制度の枠組みに入っていた。
しかし、そのため医療費が膨大に膨らんだ。
で、その分は企業の健保組合などが【拠出金】で
支援していた訳だ・・。
さらに、現行世代及び、この先の若い世代が、どこまで
この医療費を負担するのか?はわかりづらく明確に
されないままきた。
この先、どう考えても子供が少なく老人ばかりが増える
日本において、高齢者の医療費が莫大になるのは必至だ。
となれば、そのままでは自分の子供達の若い世代の負担
がとんでもないものになる事は分かり切っていた。
でも、必要以上に膨らまぬようにどうするのか?も
漠然としていただけだった。
さらに国民健康保険の保険料も、市町村の財政事情や
高齢者の多い少ないによってや、国民健康保険自体が
破綻寸前の所もあったため、国民健康保険は最大【5倍】
と大きな格差が生じていた。
このように、どこからどうみても【旧・老人保健制度】は、
すでに限界があるのは誰の目にも明らかだった。

【後期高齢者医療制度】になり、不備や欠陥など問題点
があるが、そもそも世の中に完璧なシステムなど存在
しない・・マスコミが煽る【75歳の線引き】は、どの
年齢にしても文句は出る。
完璧にみんなが納得する年齢などあるはずがないのだから、
個人的にはこのままで良い。
そして、新制度により、保険料格差は最大2倍に縮まった
&若い世代の負担を軽減した・・その代わり高齢者の
方々にも負担をお願いしますね・・という事だ。
もっと言うならば、昔、現在の高齢者の方々が選んで
きた政治家の人達の手によって、今の現状が形成された
のだから、その責任をこれからの若い世代が負うシステム
ではいけないのだ。
もちろん、これまでの日本経済を支えてきたというのは
確かに感謝しなければならない。
しかし、その反面、高度成長もバブルもバブルの破綻も
年金の無駄遣いも、若い世代がやってきた事では無いのだ。
今の高齢者の方々の世代の政治家や官僚が決めた事や
高度成長の名の下に甘い決断をした故であり、また国民
も政治を監視しなかったからの結果だ。
その結果が国民一人600万円強という借金を作って
しまった訳ですから、それなりの負担が強いられる
のは仕方がない事だ。それを、

【老人に死ね!というのか!】

と論議をすり替えるのは卑怯だ。
すでに、明日下がるかも知れない給料の中から、高齢者
のために、若い世代は色々な負担をしている。
そういう事を言うと、今の高齢者もこう言うだろう。

【我々もその時代の高齢者の負担をしてきたんだ!】

と・・しかし、今の高齢者の方々は、もちろん家族を
顧みないほどの己の努力や戦争があったという時代背景
もあるが、高度成長という若かった頃の初任給1万円位
だったものが、今や15万円位になっているという

【貨幣価値が15倍になった】

という時代背景があった。
我々も今後、今の15万円レベルの初任給が、75歳の頃に
15倍の225万円になるというのなら、高齢者優遇の措置
をどんどんとってもらって結構だ。
でも、そんな事は起こらないだろうという絶望感に似た
予測の時代が現実に訪れてしまったのだ・・。
その時代の中、生まれた若い世代に、国家的にすごい借金
を押しつける事になるのに、その上、社会保険料や税金で、
さらに絶望感を与えてはいけないのだ。

しかし【後期高齢者医療制度】について、民主、共産、
社民、国民新の野党4党が、選挙を控えた人気取りの
ために廃止法案を参院に提出した。
まあ、それはそれでいい。だが、肝心の【代替案】は
【旧・老人保健制度】に戻すというだけ・・。
おいおい・・その保険制度はみんながダメだと国会でも
結論が出ただろう・・(-_-;)
だから【新・保険】を作ろうという事になったんじゃないか!

【後期高齢者医療制度】を廃止すれば、システム改修や
保険証の交付し直しなど余計なコストがかさみ、それは
保険料や税金で補われ、無駄遣いする事になる。
また、保険料年金天引きを10月1日までに廃止するとも
しているが、廃止しても保険料負担がなくなる訳では
ないだけでなく、天引きを嫌がっている高齢者は保険料を
実は払いたくない(なぜなら結局払わなければならない
のなら高齢者にとって天引きは一番楽な方法)訳ですから、
必ず出てくる支払わない人への保険料徴収に人件費や
費用がかかるだけでなく、払込用紙の作成や送付に
多大なお金がかかるのだ。
さらに払込用紙の作成や送付などは、特殊法人などの
天下り先に、恐らく随意契約されており、結局は医療費
に使われず、天下り先にお金が流れ、天下った人間達が
喜ぶだけなのである・・。

でも現実には、廃止法案は、野党が多数を占める参議院で、
今まで野党が躍起になって与党に【強行採決は揺るさん!】
と怒っていたその【強行採決】で可決されたが、与党が
多数の衆議院では通る見込みがない・・。
それをわかっていながら話し合いをするよりも、廃止法案
提出という方法にしたのは、完全に、福田政権への揺さぶり
と、先の選挙を意識してのポーズに過ぎない事がみえみえ
である。

今回の【後期高齢者医療制度】の最大の問題点は、厚生
労働省や自治体が、大きな制度変更なのに、75歳前後
という理解するには時間がかかる年代層に対して、
配慮した説明や準備を怠ってきたという事だ。
まずは【後期高齢者医療制度】で【旧・老人保健制度】
の問題点は改善しているのだから、説明が不足していた
部分はきちんと謝罪し、【旧・老人保健制度】での問題点
をきっちりとわかりやすく説明した上で、冷静に【後期
高齢者医療制度】の長所と短所を検討し、なぜ【後期高齢者
医療制度】を導入しなくてはならないのか?という事と共に、
どうせ説明に時間がかかるのだから、長所をPRしつつ、
その間に短所をできるだけ早急に、党派の対立を超えて
論議し、改善するのが、税金も保険料も無駄にしない
唯一の方法だ。

しかし、先にも述べた自民党の見直し案の2年間で【890億円】
の減額、その減額分はどこから持ってくるのか?に関しては
未定・・さらに、見直し案では中級階層の支払う能力のある
人間まで減額対象になっている・・。
悪いが中級階層の支払う能力のある人間まで減額する必要は
無い・・減額するのは、負担増で暮らしが本当に困窮した人
に限定すれば【890億円】もの減額はいらなくなり、もっと
縮小できる。

現実問題として、高齢化に伴い社会保障費は毎年7000億〜
8000億円増えている。
構造改革路線を掲げた小泉政権は2002年度以降、診療報酬
や生活保護費をカットして、ほぼ毎年、伸び幅を2200億円
抑えてきた。2007年度も

○雇用保険への国庫負担削減(1800億円)
○生活保護の母子加算の段階的廃止(400億円)

と2200億円抑制、2008年度も

○診療報酬(薬価)削減(660億円)
○後発医薬品の使用促進(220億円)
○政府管掌健康保険の国庫負担削減(1040億円)
○その他(280億円)

と2200億円抑制、まだこの先2011年まで、年平均2200億円
削る方針を打ち出している。
しかし、今現在の7年に及ぶ抑制策は、産科医不足による患者
の搬送受け入れ拒否など、地域医療の崩壊を招いたとされる。
本年度も2200億円削る中に、与党案だとしても、今回の
【890億円】を組み込み、3000億円を削減するというのは
どう考えても無理なのだから、結果、税金から支払われて、
国の借金は増えるという事はなんら変わらないのだ。
でもそれらは、言い換えれば間違いなく若い世代へ負担させる
事になるのだ。

繰り返しになるが、【旧・老人保健制度】に代わる高齢者医療
制度の創設を検討すると与野党で決めていたのに、今回の野党
の対案は【旧・老人保健制度】に戻すだけという、与党の
【890億円】減額よりも、もっとひどい方法に替える事だと
いうのでは、やはり無責任と言わざるを得ない・・。
さらに、会期があと数日しかないという効力がほとんどない
時期においての首相の【問責決議】の提出は、あくまでも
今国会中に国民にアピールする狙いで、本気で問責する気は
ないという事・・。
こうした若い世代の事だけでなく、国全体のバランスを考えて
いないという今の【票】だけの事を考えた愚策を【政争の具】
にしているうちは、この国の未来はまだまだ暗い・・。