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地下深く永遠に 〜核廃棄物10万年の危険〜

ファイル 1724-1.jpg

ゾッとした・・_| ̄|○
先日観た、NHK-BS1でやっていた2010年デンマーク
の作品で【2010年国際環境映画祭グランプリ受賞作品】
である

【地下深く永遠に 〜核廃棄物10万年の危険〜】

にだ・・。
約50分の作品なのだが、意図的か?描写として土や岩
が中心だからか?画面の色調が【寒色】中心で、人の
インタビュー以外は鮮やかな色が出てこない・・。
この不気味さが先の結論を急がせるため、思わず
見入ってしまいました・・。

原子力発電所を推進している各国が、頭を痛める
核のゴミである【高レベル廃棄物】処理問題・・。

北欧のフィンランドが世界で初めて核のゴミの
最終処分場の建設を始めている・・。その名も

【オンカロ(フィンランド語で「隠し場所」)】

作中ではエジプトのピラミッドにも例えられ、巨大な
地下墳墓のような施設・・とはいえ、別に新しい発想な
訳でもなく、安定した地層を選び、単純に地下500mの
所まで4kmもの長大なトンネルを掘り、格納施設を作り、
フィンランド国内で排出される【高レベル廃棄物】を
搬入、満杯になると予測される約100年後に、入口を
完全封鎖し埋め、その上に草木を植え、何もなかった
かのように最初の森のように戻すのだそうだ・・。
そして、廃棄物の放射能が人体に害が無いとされる
レベルにまで低下するのを待つ・・。
その間実に【10万年】・・_| ̄|○

作中、驚きなのは、出てくる学者や管理責任者、工事
関係者らの話の中に、その計画において地下500mの
所が今時点でひとまずは安全と思っている
ところだ・・。
フィンランドでは無理なのかもしれないが、すでに日本
は温泉を掘るのに2000mを掘り下げる技術を持つ・・。
地下500mなど、全く安全な域ではない事は、今の時点
ですでにハッキリしている
・・。

だが、【10万年】もつ施設なのだと胸を張る・・。
【10万年】を簡単に語り、【10万年】が大丈夫と語る
この自信はどこから来るんだ?(^-^;
たった100年そこらのために約10万年もの歳月をかけて
保管し続ける必要がある【高レベル廃棄物】の現状を
時折、笑みを浮かべながら語る恐ろしさ・・。
そしてどこの国も【高レベル廃棄物】についてというより、
核について実に【楽観的】過ぎるのだ・・。
だって、今から10万年前ってどんな時代だったのか?
Wikipediaで調べてみると、

【中期旧石器時代(30万年前〜3万年前)】

の中間あたりで、ネアンデルタール人(知らね・・(^-^;)
がいた頃で、そもそも人類による文明はまだスタートを
していなかった
らしい・・。

どんだけすごい年月なんだよ・・【10万年】・・_| ̄|○

その点については、作中でも想像のスケールが大きすぎる
ために、現在の言葉が通じるのか?わからない、さらには、
10万年の間には、各国の原子力発電により、ウラン自体が
掘り尽くされ無くなるために、そもそも早いうちから
【放射能】というものが存在しなくなる可能性もあり、
誰かがそこを掘り出せば、その時代の人たちが被害に遭う
という事で、10万年間人類がこの施設に侵入しないように
【色々な言語】や、現世で危険であるという【シンボル
マーク】を何種類も明記し警告信号を周辺に掲示して
おくのだそうだが、そもそも【人】というものが10万年後
に存在しているのか?すらわからない年月
な訳で予測も
つかない・・オカルトでもホラーでも血が飛び散る訳
でも無いのに、とてつもない悪寒と共に背筋のゾッとする
感覚に襲われる・・(-_-;)

小出裕章氏曰く【たかが電気のために・・】こんな事まで
して、なぜ100年も原発を使い続ける決断になるのか?

どれだけ人間は偉いのか?そして、この映画を観た上で
「原発はもう絶対に諦めた方がいい」と改めて確信した。
そして、住めない土地を作り、こんな年月を必要とする
大量の核廃棄物を造り出す・・なんと人間というのは
愚かなのか?悲しくなってくる・・。
こうしなければならない現状が目の前に展開しているにも
かかわらず、まだフィンランド、日本を始め、世界は
原子力発電を続けようとしている姿にだ・・。

同時に、日本の青森県六ヶ所村には

【核のゴミを考える】
https://www.hearts.jp/user-cgi-bin/diarypro/diary.cgi?no=1696


として書いているように、

【ウラン】の燃料としての使用期限は3年間
で、3年経ったら運転をやめ、【燃料棒】を
入れ替えないとならない・・。
その際に出てくる使い終わった【燃料棒】の事を、

【使用済み燃料棒】

と呼ぶ・・。
しかし、その【使用済み燃料棒】は3年経って
使用期限がきても、【崩壊熱】いう熱を放出し
続けるので【燃料プール】という循環する水の中
で常に冷やし続けなくてはいけない
訳だ・・。

その後、青森県の六ヶ所村の再処理工場へ運び、
中から、まだ使える【ウラン】と【プルトニウム】
を取り出した後、【高レベル放射性廃棄物】となる・。
で、その後、この【高レベル放射性廃棄物】は
ガラスに溶かし込み、高さ1.3m、直径40cmの
ステンレス製のキャニスターという容器に入れ
【ガラス固化体】という方式を取る・・。

さあ、ここでなぜ【ガラス】を使うのか?
それも単純な考えで、古代から見つかったガラス
の遺跡などは形を崩さずに見つかるため、ガラス
は水などの影響にも長い間変化しない・・仮に
割れても、ガラスの中から内容物が出てこないと
いう事らしい・・(^_^;)
とはいえ、この【ガラス固化体】にしても、実は
280℃もの熱を出すそうで、それを30年か〜50年
かけて地上施設で貯蔵し冷やし、その後、地下
300m〜1000mに作る地下施設で最終処分場
として隔離処分をする
・・。

仮に、運良く処分地が決定して、隔離処分できる
事になっても、

【千年後には製造直後の放射能量の約三千分の一
 になります。また、数万年後にはその元となった
 燃料の製造に必要なウラン鉱石と同程度の
 放射能量にまで減衰します。】

と、保管が1000年から数万年が必要という恐ろしい
年月がかかるだけでなく、この【ガラス固化体】・・
製造直後の放射線量は、

【その表面の位置に人間がいた場合、国際放射線防護
 委員会(ICRP)の勧告の中で100%の人が死亡する
 とされている放射線量(約7Sv(シーベルト))を
 わずか20秒弱で浴びてしまうレベル(約1500Sv/h)】

というとんでもないもの・・。

よく考えて見て欲しい・・どこの人間が、こんな
代物を永遠に保管したい市町村があるだろうか?
ある訳がない・・。
ましてや、今回、日本では絶対に起こらないと豪語
していた大事故が福島原発で起こってしまった以上、
絶対に保管したい市町村など現れる訳がない・・。
この時点で、もう【電力】うんぬんではなく、
原子力発電は【トイレのないマンション】という
事で、【破綻】しているのだ・・。

ちなみに、ガラス固化体の発生本数は、NUMOによると、
2010年12月末現在で、すでに貯蔵されている
【ガラス固化体】(1702本)は、青森県六ヶ所村の
日本原燃の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター
に1455本、茨城県東海村の日本原子力研究開発機構
の再処理施設に247本それぞれ貯蔵保管されている・・。

しかし、日本ではフィンランドと違い、この
最終処分地はまだ決まっていない・・。
もっと愚かな国・・それが日本である・・。