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断髪式のハサミ

朝青龍の断髪式・・まあ、そのことそのものはどうでも
よく、個人的に注目は、あの金色の大きなハサミ!
朝スバ!でクローズアップされていたのがちょっと
うれしかった・・(^^*)
で、あの鋏・・千葉県松戸市の【水谷理美容鋏製作所】
での作品だそうで、50年以上のベテラン・杉浦忠夫
工場長が製作したそうだ・・。
が、この会社、美容業界では有名みたいだが、理容の方
では、ほとんど無名な会社・・。
大きさは35cm、重さは我々の普通に使う鋏の焼く3倍、
重さは240g専と6倍の重さだそうで、専門的になるが、
我々の鋏には力が入りやすいように【小指掛け】という
のが付いているのだが、素人はその【小指掛け】に
とまどうからだろう、普通の紙を切る鋏のように指を
全部入れるタイプに作られている。
材質はコバルトとレアメタルという事だが、恐らく我々
の中では長切れするという事で通常多く使われている
【コバルト合金】であろう・・。
実は【コバルト合金】は通常の鋼材よりも硬く、我々が
研ぐのもかなり難しい・・。
自分もその素材のものは専門業者に出す・・(^-^;
スチール、ステンレスまではなんとかなるんですけどね。
全て手作業で製作には1ヶ月かかっているとな・・。
確かに鋏は長いほど製作が難しい。しかも、
断髪式は刃先の使用率が99%というところだから、
刃先まできちんと力が伝わらなければならないしね・・。
鋏は筐体を作り、刃をつけたからといって切れるもの
ではない・・そこに【ひねり】という鋼材をひねると
いう職人技が必要なのであるのだが、この【ひねり】は
相当難しいだろうなぁ・・。
という事で、断髪式用に数十本作り、成功したのが
2本だったそうだ・・。
長年のプロでも、作り上げるのがそんなに難しいもの
なんだ・・とちょっとビックリした。

ちなみに、1本を会社に残し、もう1本を日本相撲協会に
寄贈だそうで、寄贈だからもちろんお金は取っていない
そうで、もし値段を付けるとしたら、材料と手間を
考えれば50万円くらいになるとの事・・我々サイドから
すると実は思ったより安い・・(笑)

なぜなら、自分が使う鋏などでも現在は色気も出て、
10万円以下のものがない。
もちろん、1万円前後から鋏は存在するが、鋏は
素晴らしいのに出会うと、自分の仕事が疲れなくなる。
どうしても我々の仕事は親指だけを動かすという特殊な
作業なので、親指の酷使であり、消耗品である事は確かで、
やはりそれが疲れないというのは大切なことなのである・・。