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痴漢事件の恐ろしさ

平成18年4月、朝の小田急線で防衛医大・名倉正博教授
が女子高生(当時17歳)の下半身を触ったとして逮捕、
起訴された・・。
名倉教授は一貫して無罪を主張したものの、1、2審判決
とも女子高生の供述の信用性を認めて懲役1年10月の
実刑判決を下されたため、上告していた名倉教授を
4月14日、最高裁は逆転無罪とした。

今まで、痴漢事件の裁判は女性側の供述だけが証拠である
場合が多く、男性側が【やってない】と言っても取り合って
もらえない・・。そして、女性側がやられたという証拠を
出す必要はなく、男性側がやっていない事を証明しなくては
いけないという難しさ・・。

今回の裁判も、名倉教授は一貫して無罪を主張、否認していた。
で、名倉教授がやっていない事を証明できない上で、被害者の
女子高生の供述内容が信用できるか?が争点だった。
そして、最高裁の結論は、

【痴漢被害を受けていた女子高生が、途中駅でいったん
 車外に出たが、その車両を替えず、再び男性教授のいる
 車両に乗っただけでなく、その男性教授のそばに乗った
 とする内容が不自然である】

要は、女子高生が

【有効な防御をしなかった事が不自然、すなわち→女子高生
 の供述内容に疑いがある=犯罪の証明が十分でない】

という事だ。
よって、【犯行を行ったと断定するには疑いが残る】ので、

【疑わしきは被告人の利益に】

という刑事裁判の原則に基づいた裁判となった。

ただ、この裁判・・男性陣のこれから起こりえる冤罪が減る!
と安堵してはいけない。こんな内容でも、5人の裁判官のうち
3人が教授の無罪を認めたが、残りの2人は女子高生の供述は
信用できるとして、反対意見を述べるというきわどい判断で
あったという事・・。

仮に、女子高生が

【車外に出たら、混雑した小田急線にもう一度乗り込めない
 かもしれなかったし、そうなると学校に遅れるかも
 しれなかったので、車外に出ず、じっと耐え続けた】

という内容だったりしたら、どうだったのか?
通勤時間帯の小田急線に乗った事がある人間ならわかると
思うが、混雑のすごい町田駅なんかだったら、一度車外に
出たら、男の自分でももう一度その車両に乗り込めるか?
わからない・・。さらに、もうひと車両前後した車両に
改めて乗り込むなど、至難の業だ。
となると、例え、本当に教授がやっておらず、女子高生の
【〜じっと耐え続けた】話が全面的に作り話だったとしても、
供述の信憑性という事を考えると、女子高生の供述が
指示される可能性は高いのだ。
ここに、証拠に乏しい痴漢事件の審理の難しさというか、
まだまだ冤罪の恐怖が残されているのだ。

このブログでも、2006年4月12日に【痴漢賠償請求訴訟】
https://www.hearts.jp/user-cgi-bin/diarypro/diary.cgi?no=638
という題名で詳細を書いているが、この女子高生の裁判など
足下にも及ばないような裁判が、依然まかり通っているが現状だ。
この沖田さんに関しては、刑事事件では不起訴なのに、民事では
1、2審で逆に痴漢行為を認定という驚くべき内容。
さらに、2008年11月にの最高裁では、審理が不十分だとして、
痴漢行為を認めて請求を棄却した2審判決を破棄、東京高裁に
審理のやり直しを命じるというひどさ・・さすがは最高裁・・
当たり前である。2審判決を破棄で、審議やり直しという事は
女子大生の【でっち上げ】が認められ、沖田さんが【無罪】に
なる可能性も高い。

男性側は、示談金目当てに、または、沖田さんののように逆恨み
などによって、女性が痴漢の被害をでっち上げるというような
冤罪が減るうれしさがあるが、女性側にしてみると、今現在も、
きっと被害を訴え出る勇気がなく【泣き寝入り】している女性が
多い中、さらに拍車をかけて【泣き寝入り】が増え、起訴が
萎縮してしまう可能性も出てくる・・。

警察庁は平成17年年11月、電車内での痴漢犯罪について、全国の
警察本部に、

○目撃者の確保
○被害者らの供述の裏付け
○容疑者の指先など身体に付着した被害者の衣服の繊維鑑定

など、科学捜査の推進などを文書で要請しているそうだ。
それでも、今回の教授の事件は平成18年だったのに、それが
きちんと行われていないのだ。
男性側にとっては、裁判後、例え【無罪】でも人生を棒に振る
可能性が高い・・だが、女性側の【泣き寝入り】も防がなくては
いけない・・。
となると、やはり供述も大事だが、双方納得できる科学捜査に
よる【繊維鑑定】【DNA鑑定】などできちんと被害者のものと
一致した決定的な【物的証拠】と共に起訴されるレベルにして
欲しいと願う・・。
それだけを徹底してくれただけでも、少なくとも沖田さんや
名倉教授のような事にはならなかったはずだから・・。