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ランボー・最後の戦場(ネタバレ注意!)

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還暦を過ぎた【シルベスター・スタローン】の代表的アクション映画の

【ランボー】

今回の邦題は【最後の戦場】とあるからきっと最後なんだろうな。
しかし、アクション的にはシリーズの中でも一番抑えられていたとは
いえ、還暦を超えた人間のアクション&肉体とは思えないよなぁ・・(笑)
と、約20年ぶりにシリーズ復活!舞台は【ミャンマー(ビルマ)】!
タイミング的にも、僧侶の虐殺や、サイクロンでの大被害によって、
軍事政権への全世界からの非難が高まる中のグッドタイミングな公開。
撮影は僧侶の虐殺よりも前なので、すごい先見の明・・。

1作目はお国のためにがんばって戦ったのに、帰ってきたらひどい扱い
で自分の尊厳のために戦う・・。
2作目は牢獄だったのもあるが、戦友を助けにと親代わりに慕っていた
トラウトマン大佐の為にベトナムへ・・。
3作目はアフガンの人達と共にソ連と戦っちゃったのだが、今回は、
のんびり暮らしていたのに、正義感溢れる支援団と共にミャンマーへ・・。
悪い事を罰し正義を貫くという事がシリーズを通して一貫した部分なのだが、
なんだかんだいっても、ランボーはお人好しで優しいんだよな・・(笑)
そして、いつも、殺し合いをやめるための戦いだったはずだのに、
殺しあう部分はやはり今回も変わらない・・。
12歳で徴兵され、内戦を60年も続けている愚かな国【ミャンマー
(ビルマ)】をチョイスした事もある意味、人間の結末は殺し合う
愚かな生き物・・とでも言いたげな映画だ。

【これは観るのに苦痛を伴う映画です】

来日したシルベスター・スタローンは正直にそう語っている。
結論から言うと、スピード感ある展開であっという間の90分・・。
迫害の現実を伝えたいという事で、無抵抗の住民の虐殺や凝縮された
激しい戦闘シーン、人体損壊の連続には圧倒される。
冒頭からかなりきつい凝縮映像で始まる。
きっとこの部分により、ポップコーンでも食べながら観ている奴らに、

【マジに観ろよ!】

という監督としてのシルベスター・スタローンの主張なのだろう・・。

本編に入っても、畑に地雷を撒き、民衆を走らせ地雷を踏ませたり、
地雷を踏まなかった民衆に生き残って揺るさん!とばかりに銃撃したり
する軍部による虐殺ゲームの描写などは、かなり残酷で、地雷に
巻き込まれた人の血や肉片が飛ぶし、銃撃れた人の血が飛び散って
カメラについたりと、かなりリアルで怖い映像で直視に堪えがたい・・。
よって、中学生以下入場禁止の【R-15指定】である。
この虐殺をリアルに描けたのは、実際に迫害を受けている多くの
ミャンマー人がエキストラとして映画に協力、劇中の軍のトップを
演じる人は、実は現実での反政府団体のリーダーだそうだ。
このレベルの内容の公開が許されたという事は、現実の
【ミャンマー(ビルマ)】での軍事政権の虐殺や弾圧はもっとひどい
レベルだという事だ。
北朝鮮はメディアでひどさがわかってきたが【ミャンマー(ビルマ)】
の状況は、昨年、日本人のジャーナリストが殺害されたのと、
ハリケーンの事で、色々と報道されてきてはいるが、軍事政権の
【酷さ】までは、まだまだ報道が足りない。
現実にも国境なき医師団など、NPO団体などが、軍事政権による虐殺の
続く【ミャンマー(ビルマ)】に入って、少なくとも、この映画の
ような劣悪な状況で活動しているなら、現実にはもっと酷いのだろうが、
このレベルでさえ頭が下がる思いである。
しかし、今回の内容に関して言えば、確かに本や薬を与えるNPO団体
などの支援団活動は必要だけれども、そのために拉致されて、それを
救いにくる多国籍軍の先鋭部隊がやってくるが犠牲になる・・。
という事は、支援団がこなければ、犠牲者はいなかった訳で・・
なんだか偽善者な自分にとっては複雑な気持ちになる・・(^-^;

でも、その【非暴力】で世界を救おうとする支援団と、【戦う事】で
生きる意味を伝えているランボーとの対比が今回の大きな特徴だ。
薬や本を与える支援団、その一方で船に残った死体を処理する
ランボーの行動をカットバックで見せる演出は、それぞれの【手段の
違い・生き方の違い】を見事に表現しているシーンだ。
最初にも語ったが、アクション的にはシリーズの中でも一番抑えられて
いる。しかし、それをリアリティで補った。
【プラベート・ライアン】の前半だけみたいな感じなので、観終わると
ドッと疲れるが、見応えのある映画だった・・。