「恥知らず」

 師走になった。何もかも忙しく、人のことなど気にしていられない時期なのかもしれない。ただ、それにかまけて色々なことをおろそかにしていると、人間が下品になる。見苦しくなる。
 夜8:00くらいのことである。電車もこの時期だからか、結構混んでいた。みんな肩をすぼませながら、乗っていた。電車内というのは、その乗っている人数を考えたらものすごく静かである。ほとんどの人は本を読んだり、音楽を聞いたり、つまりは他人に迷惑をかけない程度で、自分の時間を楽しんでいる。音がないからまだいいが、奇妙なくらいゲームに夢中になっている者もいるが、あれは滑稽である。どうしてもプレイに集中したときにでてしまう、唐突な動作がこれまた動きの少ない電車内では異常に目立つ。
 そんな中に二人組みのおばさんがいた。同窓会もしくは仲間との会合の帰りなのだろうか、単に「楽しかったね」とか「次はいつやろうか」といったコトバがもれてくる。そういうプライベートなことは当人たちが気にしなければまだいい。普通の人ならば無視しうるレベルのことである。しかし、今日楽しくなかった人にとってはプライベートな楽しい雰囲気が気に障るものだ。万人うけするネタはそうあるものではないのだし。しかし、二人のネタは最近、人気にかげりのあるアイドルグループの特番と、最近熱愛が発覚した女優2、3人についてである。特番については私が見たわけでないし、主に話しを続けているオバちゃんは事実見ていたようであったが、他のネタは全てあいまいな扱いで、しかも間違っているのである。逃げ場がない空間で、臆面もなく間違った情報を延々と流すオバちゃん、とそれにしきりに感心してあいづちをうつもう一方のオバちゃん・・・・、かなりの苦痛を強いる状況である。しかし、10分の辛抱すれば、外に出て自分のペースでいられる。
 しかし、出入口にもうひとり恥知らずがいた。降りたい人に揉まれながら、自分の位置をキープしようとする白髪のジイさんである。時間はまだ9:00前である。酒を飲んだ様子もない。降りる人がたくさんいるのだから、駅を出る時には少しは余裕があるだろう。つまり、一旦降りてもう一度乗ればいいし、例え乗れなくとも後続電車はいくらでもあるのだ。なんとでもできるだろう。しかし、ジイさんはあろうことか、降りようとする私の肩に手をかけ、いなすように外へ押した。本当のところ、大変にハラがたったのだが、こういうヤカラとマトモな議論が出来たためしがない。自分の欲求に正直すぎて、辟易する。年齢を重ねて蓄積された「徳」や「知恵」といったものが感じられず、「くそじじい」と罵られるのみである。余裕がないということなのかもしれない。
 最近の対処法としては「そういうヤカラがいるから、そうならないように少なくとも今、振る舞っている」と考えることである。今日も長い通勤時間の始まりだ、がんばろう。

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作:shun

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