「PC復旧1」

 太陽はジリジリと焦がしにかかっていた。まったく人間がいかほどの力を持っているというのか。この圧倒的な力の前に何をするのか。昨日から気温は30度を下回らない。人間18度以下では真っ裸でいると命が危ういらしいのだが、この気温ではフローリングに裸で寝転んでもほどなく水たまりをつくる。しかし自分は満足していた。家族が帰省中なのでどんな格好をしていようと咎められないし、苦手な冷房にあたらないですむ。何より冬の耐え難い寒さに比べたら気分は上々である。本当はせっかくの自由な時間だ。目一杯遊びたいのはやまやまだが、暑さに根をあげたパソコンもとい単なるハードディスクの寿命なだけだが復旧は遅々として進まずにいた。
「冗談じゃないよな」
 とりあえず声に出してみたがもちろんパソコンは起動する気配はない。それどころか、プラスチックの球をはじいているような乾いた音はリズミカルに続き、
「いい加減にあきらめろよ」
といっているようだ。
 ことの発端はある日家人がパソコンを使用し、そのまま電源入れっぱなしのまま別作業をし、あらためてパソコンを見たらフリ?ズしていたという。電源落として、再起動しても「システムがないよ」と横文字で訴えるだけ。しゃーないとこだと思う。もう7年たっているし、OSは二世代以上前のものだし、ハードディスクの耐久性が5年程度と知ったときには半分あきらめた。大体ノートなんで拡張にも限度があるし、こいつはDVDも見れない。メーカー修理は新しいパソコンが買えるぐらい高いし、価値を考えると買い替えようかなとも思う。確かに2日前まではそう考えていた。しかし、解決のヒントを得ようと、従兄弟に相談したところ、
「そんな古いのはウチにもあるけど故障してからは放ってあるなぁ、大体直したところでXPは動かないだろうさ、あきらめて新しいのを買ったらどうだい?ウチにはパソコンが4台寝ているよ」
・・・確かに六歳ほど年上なのでそれぐらい持っていてもおかしかないが、なんでわざわざ動かないパソコンを4台も持っているのかわからない。捨てるかさもなきゃデスクトップならパーツを揃えればなんとでもなりそうと自分なら考える。リカバリーCDからOSのカスタムインストールがうまくいかず、情報を得ようにも肝心のパソコンがないのだからどうしようもない。会社で業務の合間にチョロチョロ情報収集するが、古いPCに関する情報などそんなに転がっているわけもない。ましてや書店などもっとない。どこを見てもVISTAかXP関係しかない。雑誌の「XPを10年使う」というタイトルでガックリくる。おいおい、おれのOSは98ベースだぜ・・・。とりあえずOS単品でも借りて試したいと考えていたがどうもムリなようだ。
 しかし、これで俄然やる気になった。換装用のハードディスクは購入済だが、本当に相性がいいかどうかわからない。弱気にもなったし、家人が新しいのを買う気になっているのもわかっていた。タイミングはバカにいい、これを逃したら次の機会はいつになるかわからない。が、どうにかしてやろう。
 それにいずれ近いうちに子供がパソコンを使いだすに決まっている。学校のカリキュラムからも、そうなっているのだ。少し前には電卓の使い方もやっていたとか?それでいて近所ではソロバンも流行っているという。一見アンバランスだがパソコンの使い方なんて慣れればなんてことないし、実際大多数の大人はそうしてきたから、基礎的な算術の能力を開発するソロバンの方が大事と思う。ま、自分が子供の時はみんな習っていた(ちなみにやっていないけど)から、同世代の親はそのままなんとなくやらせているだけかもしれないけど。
 というわけでこのマシンは3年後には子供に与え、自分は最新機に乗り越えよう。何?子供がゴネたらどうするって?そりゃあサーバーにでもするしかないよな。こっちもそれ以上使い回す気はない。どっちにしてもメールとネットぐらいしか家ではやらないのだから、たぶん今以上の機能として欲しいのは、DVDとTVぐらいのものだろう。しかし、対応しないソフトばかりでそのたびに頭を悩ますのは困ったものである。

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