| 「都会の顔」 |
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書店は冷房が効きすぎていた。20分ほどの徘徊の後、外で身体を解凍しつつ、本店に向かう。品揃えに変化はないが、外と比較しても意外なほど人は少ない。ゆっくりと買い物を済ませると、日はやや傾き加減であった。新宿には情報が、モノがあふれている。いまや無用の長物と化した電話ボックスも御多分にもれず、所々に林立している。そんな電話ボックスを制服姿の女子学生が利用しているのが目についた。ここ何年も見られなかった光景だ。駅構内では電波の通りが悪く、また資料などを広げるスペースもないことから、サラリーマンが利用している姿は結構見られるものだが、学生は珍しい。いったいどんな相手と何を話しているのか。周辺の風紀取締りがきびしくなったのか、利用価値がなくなったのか一時期ほどボックスの風俗関係の貼紙は少なくなった。そんな妄想はしたくない、いやできなかった。このすべてが虚飾と不満で塗り込められたような都市で唯一といっていい新鮮かつ神聖なものをみたような気分になりたかった。軽くステップでも踏むような足取りで私は家路についた。車窓からのぞく夕暮れはいつにも増して輝いて見えた。 ・・・たまには都会もわるくない。 |
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作:shun
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