「鼻の話(第二回)」 <おすすめBGM>I WILL SURVIVE/by CAKE/in Fashon Nugget

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 凄く小さい頃、僕は他人の体にまとう「色」が見えた。説明しにくいが、オーラのように人を包む「色」が見えていたのだ。その「色」は同じ人でも日によって違っていたのは覚えているが、どういう時にどんな「色」をしてたかは、今となってはよく思い出せない。そしてそれが、ずーと当り前思っていた僕はあえて他人にそれを口にする事はなかったのだが、ある時、母親にそれを話すと、それはおかしいことで、そんなことは言うものじゃないと、叱られた。それ以来、僕はできる限り「色」を無視するように努め、これが見えるのは『おかしい』ことなんだと自分に言い聞かせていった。気付かない内に「色」は無くなっていったのだが、病弱だった僕が人並みの健康状態を維持し始めたのが丁度、同じ頃だったのは覚えている。それまでの体験のせいか、僕は今でも注射と薬がキライだ。この話しは、ごく親しい人にしか話さず、それでもあまり信じてもらえなかった話しだが、僕にとっては大切な記憶である。それを踏まえて、話しを戻します。
 信じ込むことで、自分の持っていた何かを失ってしまった僕にとってこの事実は、「人の確信」がもたらすというニュータイプの存在も、細くなっていく顎に不要な親知らずも、無臭化していく現代における鼻となんの変わりもないものである。オースナポチさんの言う通り必要があるのなら、『嗅覚』という能力は失われるものではないし、「料理の鉄人」の審査委員、服部先生が言うように上顎の裏で感じる15%の味覚が、自分にとって必要であると思っていればなくならない。ただし、日常生活に於いて鼻が1つ1つ評価を下す以前に、僕等は視覚で判断を下せるまで進化してたし、それなりの教養もある。また、いくらグルメと言ってもそれを職にしない限り、多くの人には必要のない能力であると思う。そんな大勢が、僕のように信じ込めば、見えてた世界なんて無くなっちゃうのだろう、やっぱり。................鼻は大切にね。

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作:Grecoviche

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